今シーズン初頭に開発プログラムが明らかにされた韓国のマニュファクチャラー、起亜の『CEE'D(シード)』をベースとしたTCR規定ツーリングカーだが、16日にマシンのR&Dを担当する技術集団STARDが、そのオフィシャルCGを公開した。
シードはフォルクスワーゲン・ゴルフを筆頭とするCセグメントのハッチバックとして06年に初代が登場。2012年に現行の2代目へとモデルチェンジした。先代はリーズナブルな価格設定で各国で量販モデルとなり、英国BBCの人気番組『トップギア』のタイムアタックカーにも選定された経歴を持つ。
そのシードの新型モデルをベースに、マシン開発を行ったSTARDの最高経営責任者(CEO)であるマイケル・サコウィックは、その詳細を次のように説明した。
「我々は技術的なソリューションに集中して取り組んできた。この数ヶ月間の進捗には非常に満足しているし、さまざまなマシンバリエーションを誇るTCR規定車両のなかでも高い戦闘力を持っていると信じている」
「テストプログラムは順調に進んでいて、その結果は我々の想像を越えたものになっている。現時点でプログラムの進捗はオンスケジュールであり、完璧なものと言えるだろう」
同じく、STARDの最高技術責任者(CTO)を務めるフィリップ・トーネットは、次のようにコメントを付け加えた。
「我々は最高のサプライヤーを選択するために、TCR規定の新たなタスクでもある24時間耐久レースにも耐えうるあらゆる数のコンポーネントをテストした。なかでもダンパーは現在4つの異なるサプライヤーを試していて、ブレーキやギヤボックスでも同様のアプローチで臨んでいる」
「このプロセスは時間が掛かるものの、最高のマシンパッケージを導き出す唯一の方法とも言えるね!」
オフィシャルカーのプレゼンテーションは今年の10月が予定されているが、購入希望のカスタマーは先行して9月から、2017年シーズン向けの注文書を申請することができる。
有力顧客候補のひとりであり、ドイツでストール・グループGmbHを運営する元WRCドライバーのオーストリア人、マンフレッド・ストールは、この新型マシンに大きな期待を寄せている。
「世界中のキアのコミュニティが、このプロジェクトに関して非常に大きな興味関心を抱いている。この事象こそ、キアのロードカーをベースとしたモータースポーツ活動が待ち望まれていた、ということを端的に表しているね」
市販モデルの2リッター・ターボを搭載したTCRカテゴリーは、現在選手権ポイント首位のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRを筆頭に、アルファロメオ・ジュリエッタ、ホンダ・シビック・タイプR、オペル・アストラ、プジョー308、セアト・レオン、スバルWRX STIなど、最新のハッチバックモデルを主軸に多彩なマシンバリエーションを誇っている。
このTCR規定を睨んで、各マニュファクチャラーも市販モデルのスペシャルバージョンを開発するなど、盛り上がりの機運を見せているだけに、この新型キア・シードTCRの成否も気になるところだ。