園子温監督によるロマンポルノ作品『アンチポルノ』が、今冬に東京・新宿武蔵野館ほかで順次公開される。
「日活ロマンポルノ」のプロジェクト「ROMAN PORNO REBOOT PROJECT」の一環で制作された『アンチポルノ』。小説家兼アーティストとして時代の寵児となり、極彩色の部屋にこもりながら分刻みのスケジュールをこなす女・京子の抱えた秘密が、虚構と現実の狭間で暴かれていくというあらすじだ。
京子役を演じるのは、『新宿スワン』『リアル鬼ごっこ』『みんな!エスパーだよ!』といった園作品に出演している冨手麻妙。元AKB48の研究生という経歴を持つ冨手は、映画初主演作となる『アンチポルノ』で初のヌードを披露している。
冨手はヌード撮影について「抵抗は全くなかったです。むしろ、『よっしゃー!脱ぐぞー!!』って感じで(笑)。自分が好きな女優さんはみんなスクリーンの中でヌードになっていて、それがすごくかっこいいし美しかったんですよ。だからもともとヌードに対して良いイメージを持っていました」とのコメントを発表している。なお同作は『第22回エトランジェ映画祭』コンペティション部門、『第49回シッチェス・カタロニア国際映画祭』コンペティション部門に出品される。
ROMAN PORNO REBOOT PROJECTは、日活ロマンポルノの製作条件を現代のフォーマットに置き換えながら、一定のルールの中で撮影するという特質を引き継いで製作。先日開催された『第69回ロカルノ国際映画祭』で若手審査員賞を受賞した塩田明彦監督『風に濡れた女』に加えて、中田秀夫、白石和彌、行定勲らによる作品がラインナップしている。
■冨手麻妙のコメント
私が映画を好きになったきっかけは、『自殺サークル』を観て園子温監督のファンになった時からです。“園子温監督映画で主演を演じる!”というのが私の目標でした。数年前の自分のインタビュー記事を読んで振り返ってみると、とにかく園さんの作品で演じたいと色々なところで熱弁してました。そして演じるからには絶対主演!と思っていました。ある時“行動あるのみ”だと思い立ち、園監督のトークショーを観にいき、その後に出待ちしました。「冨手麻妙です!!女優やってます!」と自己紹介したのが園監督との出会いです。数日後、事務所に出演依頼の電話が鳴って『新宿スワン』の出演オファーがあり、そこで初めて園監督に私の芝居を見てもらい、その後続けて園監督の作品に出演させていただきました。毎回、園監督の作品に参加するたび、役を与えてくださってる園監督への感謝と共に、自分ではない主演の役者さんへのジェラシーというか、悔しさみたいなのがすごく生まれていて、次は絶対自分が主演をやるぞと心の中で思っていました。なんだかすごくギラギラしてました(笑)。園さんから『アンチポルノ』の話をされたときは、涙が出るくらいとにかく嬉しかったし、緊張したし、ワクワクしましたね。私の気合いを見せつけてやろう!と現場でもギラギラしてました(笑)。
■園子温監督のコメント
『新宿スワン』、『みんな!エスパーだよ!』、『リアル鬼ごっこ』、米国MTV製作の短編集「MADLY」の中の“Love of Love”と彼女を続けて起用して、その女優としての才能が開花していく様に常に着目してきました。個性的な魅力、豊な肉体、そして並外れた演技力を持つ彼女を晴れて主演として迎えられたことで、はじめて作品が成立したと言って過言ではありません。彼女以外の主演はありえませんでした。