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SMAP解散報道がファンや後輩ジャニーズに与えた衝撃 社会学者の太田省一氏に聞く

2016年08月16日 16:41  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 8月14日未明、ジャニーズ事務所が報道各社に対し「SMAPが2016年12月31日をもって解散する」と発表した。


 同グループは長きに渡ってグループを支えた前任マネージャーの退社を受け、1月にグループ内で分裂騒動が勃発その動向に注目が集まっていたが、あまりに突然の発表であったため、呆然としたファンも多かったはずだ。


(関連:SMAP解散発表に寄せてーー矢野利裕が緊急寄稿「すぐれてSMAP的なものであることを願う」


 この一連の騒動について、『中居正広という生き方』の著者であり、リアルサウンドで『ジャニーズとテレビ史』を連載に持つ社会学者の太田省一氏はこう語る。


「これは発表翌日の『シューイチ』(日本テレビ系)で中丸雄一さんも言っていたことですが、彼らは『男性アイドルの歴史を変えたグループ』であり、光GENJIのあと、歌番組が次々に終了していく時代に登場しバラエティに進出、平均年齢が40歳を超えてもグループを持続させ続けるという前例のない道を歩んできました。そんな彼らが今回のような事態になったとき、前例のない状態で決断を下すのは、想像するに決して容易なことではなかったでしょう。1月の時点ではファンや世論からの『解散しないで』という声を受けて存続を選んだと思いますが、改めてどのように活動していくかという壁にぶつかったとき、メンバー個々に考えることがあったのかもしれません。このまま続けるという選択肢も当然あったと思うのですが、もし本人たちが考えた末に決めたことであれば、その考えを尊重したいです」


 続けて同氏は、一連の報道に関する違和感について指摘した。


「とはいえ、一連の流れにおいて本人たちの気持ちが伝わる肉声がないままここに至ってしまったことに関しては、ファンの方も私自身も、世間のSMAPに慣れ親しんできた人たちに取っても釈然としないものがあると思います。この20数年、日本のテレビエンターテインメントの中心にいたのは間違いなくSMAPであり、それは彼らの活動が必ずしも順調ではなかったときもそうでした。森且行さんの脱退も、草なぎ剛さんや稲垣吾朗さんが活動を自粛したあとの対応、1月の分裂騒動に関する意思表示も、すべて『SMAP×SMAP』を通して、私たちに彼らの生の表情や声が伝わるかたちでした。そうして画面に映る彼らの姿から何らかの意味やメッセージを私たちは感じ取ってきたのです。だからこそ、どのような結論になろうとも、各自のこれまでの思いや解散までの4カ月間にグループはどのようなかたちになっていくのか、しっかりとテレビという媒体を通して本人たちの言葉で説明してくれるまでは、納得できない人も多いと思います」


 また、後輩グループの各メンバーが番組で次々とコメントを残していることについて、太田氏はこのように受け止める。


「先に挙げた中丸さんのほか、NEWSの小山慶一郎さんは整然とした形でグループ活動を続けることの難しさとそれでも続けていくことの意義について話し、TOKIOの国分太一さんと山口達也さんは、自分たちにも解散危機があったことを告白。国分さんは、同期に近いSMAPの存在があったことで今の自分たちの活動もあると思いをこめて語っていました。また、中丸さんが『少なからず同じ事務所の後輩は絶対に影響を受けている』と語ったように、自分たちが将来目指すべき方向を常に示してくれていた彼らの解散報道を、後輩グループそれぞれにある種の“宿題”を残すものとして、それぞれが深く受け止めたのではないかという印象でした」


 最後に太田氏は、「今の彼らに期待すること」として、以下のようにコメントしてくれた。


「SMAPは結成から28年間、節目節目に道標となる存在でした。震災があった時は私たちにできることは何か考えるきっかけをくれたり、チャリティーを呼びかけてくれたり、自分たちの役割を自覚しつつ世の中と積極的に交わる姿を見せてくれていました。また本人たちも最初から完璧になんでもこなせたわけではなかったですし、苦難にも見舞われたグループであったからこそ、思い悩みながらも前へ進む彼らの姿に、人生の伴走者のような親近感を覚えてきた人も少なくないでしょう。一連の報道については、SNSでファンが情報交換・発信できる時代になってくると、報道に反論する人も現れるなど、マスメディアが報道するストーリーが額面通りに受け止められる時代ではなくなってきています。この半信半疑の状態を終わらせるのは本人たちの言葉でしかないと思いますし、『SMAPなら私たちを待たせすぎることはないだろう』という信頼関係もファンとメンバーの間にはあると確信しますので、今はひたすらにその声を聞かせてほしいと願うばかりですね」


 解散発表以降、報道ばかりが先行している現在の状態に不満を持つファンは少なくない。果たして彼らの言葉で今回の騒動について語られるのは、いつのことになるだろうか。


(編集部)