熟年離婚と聞くと、何十年も結婚生活をしてきた妻が、夫の定年とともに突然別れを切り出すパターンを想像しがちだ。しかしいま増加している熟年離婚は、短い交際期間で電撃結婚したものの、すぐに破綻してしまう「ジェットコースター離婚」だという。
7月28日放送の「ノンストップ!」(フジテレビ)ではタレントでリポーターの菊田あや子さん(56歳)が、自身の経験を赤裸々に告白していた。
「愛してるとか好きとか、分からないまま始まって終わった」
「結婚に対して大きい欲、煩悩にまみれていたんでしょうね」
「向こうは絶対生活スタイルを変えない。私は全然楽しくない」
こう漏らす菊田さんは、後悔しきり。人を見る目が養われているはずの熟年世代が、なぜこんなことになってしまうのか――。仕事一筋だった菊田さんが結婚を考え始めたのは、40歳を過ぎたころ。思うように相手が見つからないまま50歳を過ぎたが、それでも楽観的に考えて諦めなかった。
すると55歳のとき、友人の紹介で交際を始めた年上の男性から、なんと出会って3か月でプロポーズされた。そこで菊田さんは「断る理由はない」と、すぐ結婚してしまった。
「得意な料理を褒めてくれる人がいる」。そんな幸せを感じたのも束の間、ちょっとはしゃいだだけで「何ですか、その言葉づかいは」とたしなめられた。それを皮切りに、生活スタイルがまったく合わないことに気がついた。部屋の装飾なども許してもらえず、全くくつろげない。菊田さんは当時をこうふり返る。
「向こうは絶対生活スタイルを変えない。私は全然楽しくない」
決定打は「たまには旅行に」と誘ったときのこと。「人に見られるじゃないか」と完全拒否された。「断る理由がない」と思った相手だったが、考えてみれば彼は結婚したことを公にせず、彼の親戚に会ったこともなかった。
「お互い経済力がある。子供がいない」で、すぐ離婚
ショックを受けた菊田さんは「見られるって、何でダメですか?」という言葉すら飲み込み、結局3か月で離婚。「望み通り行くに決まってると思ってた」と肩を落とす。番組放送後、菊田さんはオフィシャルブログでこう漏らしている。
「聞く耳を持たない相手でしたからね 私の考えや価値観は押さえつけられた訳でね」
「言いたいことや私の考え、価値観、希望を話してもやめてくれ、聞きたくない、となりましたからね」
しかしそんな態度は、相手にとっても不満のタネだったかもしれない。夫婦問題カウンセラーの高橋知子さんは、熟年にジェットコースター離婚が多い理由をこう指摘する。
「熟年は結婚を前提につきあうので、焦ってすぐにプロポーズする人が多い。『条件が合えばいい』とすぐに結婚してしまう」
「自分は生活スタイルを変えないのに、相手には『変えて』と求める。理想を相手に求め過ぎる」
いざ生活を共にしてみると「水道を出しっぱなしにして歯を磨く夫。何度注意しても直らない!」など、些細な生活習慣の違いが大きな溝になるケースも多い。そして「お互い経済力がある。子供がいない」で、すぐ離婚に至る。新婚ならよくあるいざこざで、若いうちならお互い妥協点を探ることができても、熟年ではそう簡単には譲れないのだ。
老後より「明日からの生活」の話をすること
結婚前に老後の話はしても「明日からの生活」の話は避けがち、との指摘もあった。「定年後は2人で田舎暮らしがしたい」など理想の暮らしを思い描き、老後の孤独を埋めるために結婚したい心理がうかがえる。老後が身に迫る熟年ゆえの切実さで、決して笑えない。
その一方で、長年の親友の話を鵜呑みにして「小遣い制にして、サイフは妻が握らなきゃ」と言われ従ったところ、長年自由に金銭管理してきた男性から「こんなに金にうるさい女だったのか」と早々に見切りをつけられるということもあるようだ。
そんな悲しい事態に陥らないために、高橋さんは「いかにして(結婚前から)普通のことが話し合えるかがポイント」とアドバイス。菊田さんも「相手の暮らしぶりや価値観、金銭感覚を確かめてから結婚すべき。熟年だからこそ時間をかけて欲しい」と訴えていた。(ライター:okei)
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