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【怪奇】体は人間、頭は牛! 凶事を告げる魔物「牛頭」、阪神大震災の前に目撃されたという話も

2016年08月14日 10:41  キャリコネニュース

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夏真っ盛り。日本列島は連日猛暑が続いている。このままでは脳みそまで茹ってしまいそうになるが、せめてここは一つ、胆だけでも冷やしてもらいたいということで、今回は、ちょっと怪談めいたコラムを書いてみたい。

これは1993年の夏のことである。当時小学生だった僕は、祖母と一緒に、短い期間であったが神戸で暮らしていた。ある晩、祖母と僕はバスで移動していた。そしてこのとき、おかしなものを目にした。(文:松本ミゾレ)

異様に頭の大きい女性が夜道を歩いていた……口元には泡が……

走行中に暗い窓の外を眺めていると、街灯もないのに、やたらはっきりと浮かび上がる人影を見つけた。それは女性であった。洋服と、たしかスカートを履いていた。服装はごく普通なのに、やけに気になるのは、頭のサイズだ。

バスが彼女のすぐ脇を通る際に、はっきり見えた。牛である。この女性は、牛の頭をしていたのだ。安物のラバーマスクのようにも見えなかったし、口の周りには泡が付着しているのが分かった。

僕以外にも窓の外を眺めている人は数人いたかもしれないが、車内は静かなもの。バスのエンジン音が聞こえるだけであった。祖母に目撃したものを伝えようとしたが、当時僕はもう小学生。信じてもらえないと思ったので、すぐに諦めた。

こういう話を、これまで何人かの知人に打ち明けたことがある。そうすると不思議なもんで、大体返ってくる言葉が決まっているのだ。主に「あ、それは牛頭だね」というもの。神主や僧侶など宗教関係の人はこう言う人が多い。

もう一つは「くだんだよ、それ」というもの。こちらはオカルトライターや、自称霊能者に多い答えになっている。

本来は地獄で亡者に罰を与える恐ろしい獄卒

まず、くだんについて軽く説明しておきたい。くだんとは「件」と書く。人という字と牛という字をあわせていることからも分かるように、要は人と牛の合いの子みたいなUMA(未確認生物)である。

なんでも、この国に天災や人災が間近に接近すると、普通の牝牛から、くだんが誕生するという。そしてくだんは、生まれてすぐに、なんと日本語で予言をするのだ。生まれた瞬間に日本語を使いこなすんだから、くだんはきっと頭がいいんだろう。

しかし、そんな聡明なくだんは、予言をした後、ほどなくして死ぬという。噂の範疇を出ないが、これまで流行り病や、干ばつなどを予言したほか、第二次世界大戦の前夜にも出現したとされている。ただ、その姿は「牛の体に人間の頭を持つ」とあるので、僕の見たものとはルックスが違う。

一方で牛頭とはその名のとおり、牛の頭を持つ人である。僕が目撃したのはこっちだ。 牛頭とはそもそも、仏教の経典に登場する存在。地獄において亡者に罰を与えるという仕事に就いている牛頭人身の鬼だそうだ。

結局、「ああいう恰好をした妖怪」というだけだったのか

ネット上ではこのような姿をした何者かの目撃情報が、しばしば報告されている。そして牛頭目撃情報には、嫌な話題もセットになっている。牛頭を目撃した付近では、近いうちに災害などの凶事が起きるというのだ。

たとえば1995年1月17日には阪神大震災が発生している。この震災の前後に、牛の頭をした人間の目撃例があるというのである。ただし、「目撃例がある」とされるだけで、具体的にどういう状況で発見されたのかは諸説あって判然でない。

一応僕も被災した神戸で目撃してはいるが、それは震災の1年以上も前の話であって、時間が開きすぎている。この話と結びつけるのはちょっと強引だ。

さらにネット上には、東日本大震災の直前にも牛頭を目撃したという話が書き込まれている。でも、あの震災で被災した知人に話を聞いてみても「そんな話、噂でも聞いたことないよ」との答えが返ってきた。僕としても「だろうね」としか思えない。今の時代、そんな不審者が出れば、すぐにネットで話題になるはずだ。

目撃された、という話ばかりで、いつ、どこで出没したのかについての報告がないのはおかしい。だとすると当然、僕が見たアレは一体なんなのか、ということになる。

アレが出没したら災いが起きるとか、僕が見る限りでは、そういう大それた存在には思えなかった。正体なんかきっと確実には分からない。「アレは何か」と問われれば「ああいう格好をしてるだけの妖怪」と答えたい。案外、本当にただそれだけの存在だったりするんじゃないだろうか。

大体、牛の頭をした連中が跋扈すれば不幸が訪れるなんて、そんなの怖いし、信じたくない。

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