ダイヤモンドオンラインが8月10日に公開した記事、「なぜイマドキ新入社員は定時で即帰ってしまうのか」がネットで大炎上している。
記事を書いたのは、キャリアコンサルタントの櫻井樹吏氏。就活指導や新入社員の教育を専門としており、著書に「ゆとり世代のトンデモ行動学」(ダイヤモンド社)などがある。
「何かお手伝いできることありますか」と積極的に残業することを推奨
記事中で櫻井氏は、マネージャーや先輩社員からは「新入社員が定時になると即帰る、アイツはダメだ」という声が挙がっていると指摘。新入社員が定時で帰る理由について同氏は「所属意識の違い」と分析し、持論を展開した。
「決められた時間の中で業務をこなす、こうしたアルバイト感覚、学生感覚が抜けきっていないうちは、組織に所属しているという意識が根付くまでに時間がかかります」
新入社員は仕事が終わって定時で帰るのではなく、「何かお手伝いできることありますか」と周りに声をかけ、積極的に組織に関わろうとする努力が必要だというのだ。すぐに会社から帰ろうとするのは、「所属意識よりも社会人としての意識が低い言えなくもない」ともいう。
また、社会人は「どこに居場所を求めるか」が重要としたうえで、定時で帰る新入社員のことを「会社がアウェイになっている」と批判。会社を「ホーム」として遅くまで残る中堅社員に対し、定時で帰る新入社員を「トンデモ新入社員」呼ばわりした。
その上で、「残業が必要になる場合は、残業を良い悪いではなく、何のために残業が必要なのかを新入社員に考えさせる」として記事を締めくくっている。確かに職場の居心地の良さは必要ではあるが、結局は残業ありきの労働環境を弁護するようにしか聞こえない。
「顧客に聞き触りの良い話を世間一般の常識として当たり前のように語っている」
記事には多くの批判コメントがつき、大炎上した。
「定時だから帰るんだろ?犬なのか社畜なのか知らんが、長い時間勤務すると偉い感覚の人種と一緒にすんな(笑)」
「『なぜ定時で帰るのか』。『なぜ』がつくということは、定時で帰らないのが当たり前で、帰るには理由が必要、ということだろうが、その前提から間違ってる」
記事では帰れる状況でも「何かお手伝いできることはありませんか」と聞いて組織に関わる姿勢の大切さを説いているが、「残業は業務命令なのに何故仕事の終わった社員の側から定時後にやること無いか確認せねばいけないのだ?」など、批判の的だ。
脱社畜ブログを運営する日野瑛太郎さんもツイッターで、
「なんだこれ。就業時間内ならともかく、就業時間後に『何かやることはありますか?』を聞かなければならない理由がまったくわからない。ズレているのはむしろ上の世代でしょう」
と糾弾している。
また、経営者からも「就職というのは職業に就く事であって、会社や職場に就く事じゃないから」「(帰属意識を持たせるには)そりゃ従業員の権利と契約をきっちり守り報酬をきっちり支払う事に決まってますよ」といった声が出ていた。
今回はキャリアコンサルタントの記事が炎上したが、コンサルの顧客は結局のところ企業経営者や役員だ。櫻井氏も自身のサイトで「中小企業向け集客採用コンサルタント」と名乗っている。
そのためネットでは「顧客に聞き触りの良い話を世間一般の常識とか守って当たり前のように語っている」「企業側には利用価値のある人材なんだろう」と見る向きもあった。結局、ポジショントークでしかない、ということなのだろうか。
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