世界ラリー選手権(WRC)に参戦しているフォルクスワーゲン・モータースポーツの代表、ヨースト・カピートはクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)が第8戦フィンランドで挙げた勝利は無価値である批判した。
■「あの状況下の勝利に何の価値がある?」
カピートは以前から、ポイントリーダーが大会最初の2日間を不利なボジションで走るという現行の出走規定に対して不満を口にしている。実際にフォルクスワーゲンに所属するポイントリーダーのセバスチャン・オジエ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)は、シーズン序盤から1番手出走の不利益を被り続けており、3月の第3戦メキシコ以来、勝利から遠のいている。
一方、ミークが所属するシトロエンは今季ワークスとしてフル参戦していない。そのため、ポイントランキングでは下位に留まっているが、路面コンディションが安定する後方出走となるため、アドバンテージがある。
ミークがスポット参戦した第5戦ポルトガルで優勝した際も「選手権の価値を下げる」と述べたカピートは、今回も「クリス(・ミーク)は、第8戦フィンランドの勝利を喜ぶべきではない」と痛烈に批判した。
「路面を含め、コンディションは終始安定していて、ミークがミスする可能性も低かった。こんな状況で手にした勝利にどれだけ価値がある?」
「ほかの誰にも(勝利する)チャンスはなかった。これが批判する理由だよ。間違いなく選手権の価値は下がり続けている」
「もしクリスが勝利できていなかったら、愚か者だと揶揄されていただろう」
■求められるのはランキング上位陣の優勝争い
またカピートは、今季これまで行われたグラベルイベントでランキングトップ5につけているドライバーが勝利していないことについても批判を繰り広げている。
「こんな争いに誰が興味を持つだろう。だれも興味をそそられないだろう」
「トップ5のドライバーが安定したコンディションで走ることができれば、し烈なバトルが行われ、観客の興味を引く。しかしフィンランドでは金曜日のお昼休みまでに、勝負が決してしまった」
「どこかのラウンドで勝利してランキング上位に食い込んだドライバーが、それ以降の勝負権を失ってしまう状況は間違っている」
「ここ数戦の総合3位争いの激しさは知ってのとおりだ。あのバトルを優勝争いとして見たいと思わないか?」
一方、カピートに批判されたミークは「来年の(ラリー・フィンランドでの)結果を見てから言ってほしいね」と応じている。
■17年に出走順ルール改定なるか
カピートが疑問を呈し続けている出走順規定は、8月末にスイス・ジュネーブで開催される世界モータースポーツ評議会(WMSC)で議論され、来季に向けて出走順規定に変更が加えられる場合、9月28日にフランス・パリで行われるWMSCで決議される。
なお、第8戦フィンランド以降の3戦(ラリー・ドイチェランド、ラリー・チャイナ、ラリー・フランス)はターマック(舗装路)ラウンドとなるため、出走順規定への批判は一度止むものとみられている。