2016年08月11日 08:21 弁護士ドットコム
「ペットの様子が気になったから」。自分が留守の間に、勝手に自宅に入ってくる義母についての悩みが、ネットの掲示板「ガールズトーク」に投稿されていました。
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投稿者は「義母との同居は絶対嫌だ」と伝えた上で、夫と結婚しました。ところが、近所に越してきた義母は、「夜ご飯作るから食べにおいで」「子どもの泣き声が聞こえるけど大丈夫?」などと、何かに理由をつけて、頻繁に家に来るようになりました。
夫が合鍵を渡すと義母の行動はエスカレート。投稿者がいない間に自宅に入ってくるようになりました。体調不良で仕事を早退したとき、たまたま鉢合わせになり、気がついたそうです。
いくら義理の母とはいえ、勝手に息子夫婦が住む家に入る行為は、法的に問題ないのでしょうか。柳原桑子弁護士に聞きました。
●合鍵を渡していることなどから「住居侵入罪」とは言えない
夫が義母に対し、合鍵を渡しているということなので、夫は義母に対して、ある程度、自由な入室を認めているといえます。
義母にしてみると、合鍵を渡されているので、玄関の鍵を開けて、穏やかな態様で入室できます。入室の目的としては、嫁がきちんと家庭生活に必要な家事などを行っているかの確認や、息子夫婦の生活ぶりを知りたいといった過干渉のような場合もあります。
一方で、留守中の安全の確認だったり、忙しい息子夫婦を慮って留守中に家事を手伝おうという好意の面から行っている場合もあります。
住居侵入罪の適用にあたっては、保護すべき利益が何であるか見解がわかれていますが、いずれにしても、これらの状況からすれば、住居侵入罪に該当する行為とまではいえないと思います。
ただ、住居はプライバシーの空間です。たとえ義母という赤の他人ではない者とはいえ、息子夫婦のプライバシーは守るべきです。
夫が義母に対し、自宅への自由な出入りを許容し、そのために合鍵を渡したということであるならば、投稿者は夫に対し、義母の留守中の自由な出入りはやめてもらいたいことを話して、私生活の平穏を尊重してもらうよう対応を考えてもらい、解決策を考えるのが妥当かと思います。
【取材協力弁護士】
柳原 桑子(やなぎはら・くわこ)弁護士
1998年弁護士登録 第二東京弁護士会所属 離婚事件・遺産相続事件などの家事事件、破産事件、不動産関係事件等を中心に、民事事件を扱っている。「離婚手続きがよくわかる本」、「よくわかる離婚相談」、「相続・贈与・遺言」監修(いずれも池田書店)。
事務所名:柳原法律事務所
事務所URL:http://www.yanagihara-law.com/