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アイドルネッサンスの熱い夏は続く 1stツアー初日ライブレポート

2016年08月10日 14:21  リアルサウンド

リアルサウンド

アイドルネッサンス

 今年、2月28日の2nd ワンマンライブで宮本茉凜が言っていた「また熱いアイドルネッサンスの夏がやってきます!」、あの言葉をふと思い起こすようなライブだった。


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 アイドルネッサンスが、7月30日に新宿BLAZEにて1stツアー『君の街まで訪ねるネッサンス!!』の初日公演を開催した。


 2014年5月の初ライブから約2年。アイドルネッサンスはメンバーの学業の都合などもあり、都内での活動が主であった。今年5月に行った『シブヤで2周年を感謝するネッサンス!!』では、新井乃亜がデビュー3年目を迎えるグループの目標を、「3年目は日本全国いろいろなところをまわってライブをすることを目標に頑張っていきたいと思います!」と宣誓。翌月の『アイドルネッサンス部 新体制お披露目するネッサンス!!』にて念願叶ってのツアー開催を発表したという流れだ。新体制披露公演では、原田珠々華、野本ゆめかの2名が加入し、「新生アイドルネッサンス」として8人体制初の夏、そして全国ツアーを迎えている。


 今回のツアーでは、見どころがいくつかある。この日のライブは「8人体制初の“ワンマンライブ”」でもあった。「古今の楽曲を歌とダンスで表現する」アイドルネッサンスは、現在50曲を超える持ち曲をカバーしている。未だそのほとんどが音源化されておらず、ライブのみで聴くことができる楽曲も多いことは、ライブ動員の増加にも繋がっている。言わば、ライブ重視のグループが8人体制となり、6月にお披露目のステージを観た時に思ったことが「8人体制による既存楽曲の初お披露目」という概念であった。


 それは、これまで一番多く披露してきたであろうデビュー曲「17才」、グループ初ライブからパフォーマンスし続けている「ミラクルをキミと起こしたいんです」にも言えることで、新メンバーの2名が加わることによりパート割りやフォーメーションの位置、歌声の力強さもこれまでのアイドルネッサンスとは全く違って見えたのだ。本ツアーが始まるまでの、インストアイベントやライブイベントにて「初恋」など、着実に「新体制による楽曲の初披露」を行ってきたわけだが、今回のツアー初日にもその「初披露曲」は何曲かあった。「君の街まで」「PTA~光のネットワーク~」などがそれに当てはまるが、中でも「PTA~光のネットワーク~」の大サビ部分で2パートに分かれて歌い踊る箇所では、今までの「3:3」から「4:4」に人数割りが変わったことでよりユニゾンも踊りの広がりもダイナミックに感じられた。


 また、今回のツアー前には、各公演毎に新曲を1曲披露することをアナウンスしていた。ツアー初日の新宿公演で初披露した新曲は、髭の「それではみなさん良い旅を!」。初のツアーということで1カ所につき1曲ずつ「旅」をテーマにした曲を披露していくということだ。披露した「それではみなさん良い旅を!」は、イントロの尖ったギターサウンドが特徴的だが、それ以上にメンバーのファンキーな歌い方がグループの新たな一面を垣間見せた。アイドルネッサンスには、ほかにも「トラベラーズ・ハイ」「君の街まで」など旅をテーマにした楽曲が存在する。この2曲は今回のライブの1曲目と2曲目に披露しており、ツアーが始まったということを表しているのだろう。また、MCで石野理子が「新曲すごく楽しみなんです! 今日じゃない新曲も(何を披露するか)決まってまして、最後(大阪公演)とかヤバイよね!」とコメントしていた。小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」、奥田民生「さすらい」など「旅」をテーマにした楽曲は多くあり、ツアーでどのような曲を披露するのかも注目だ。


 また、ツアーではフリートークがあまり得意ではないといった理由から「フリートークするネッサンス!!」のコーナーがスタート。公演毎にMCは変わり、新宿公演は石野、南端まいなが選ばれた。フリートークのテーマは「ツアーで1番楽しみなもの」。百岡古宵が出身地である岩手県と同じ東北の宮城・仙台公演を挙げ、前回グループが仙台に訪れた際に飲んだずんだシェイクの話題で持ちきりに。自身1人がトークを運んでいることに耐え切れず石野が、「南端さん、仕切ってもらっていいですか?」と切り出すと、南端は「話が脱線してる~」としたり顔で突っ込み、的外れのコメントに会場は爆笑の渦に。その後も、南端は「その辺ですかね!」など要所要所で話に割り込み南端なりのMCを披露していた。これからツアーでこのコーナーがどう発展していくのかも見物だろう。


 ほかにもトークという点で目を引いたのは、ライブ序盤での新メンバー原田のセリフ。「私たちアイドルネッサンスは、1950年代から2010年代までの名曲を、歌とダンスでパフォーマンスする名曲ルネッサンスに挑戦しています」、これは普段MC役である宮本茉凜のセリフだ。ほかのメンバーは何も言及せずさらっと流していたが、なかなかに流暢でMCの才を感じずにはいられなかった。もう1人の新メンバー野本ゆめかも、持ち前の明るさを武器に自己紹介では「いい夢見てね!」と名前にかけたキャッチコピーを披露し会場を沸かせていた。2人の今後の成長も見守っていきたい。


 アンコールでは、10月23日に渋谷TSUTAYA O-WESTでの主催2マンイベント『対するネッサンス!!』、11月6日Zepp DiverCityにて開催する4thワンマンライブ『お台場で迸(ほとばし)るネッサンス!!』を発表した。比嘉奈菜子もライブ中に話していたが、「迸る」は「「勢いよく流れる」」を意味する。Zepp DiverCityはアイドルネッサンスがこれまで行ってきたワンマンライブの倍以上のキャパシティを誇る場所であり、同じレーベル<T-Palette Records>の先輩であるアップアップガールズ(仮)やかつてレーベルに所属していたlyrical schoolが超えていった、一種の壁でもある。その壁を乗り越えるべく主催する2マンイベントの相手は、活動歴10年のチャオ ベッラ チンクエッティと、そのさらに先輩であり活動歴13年のレーベルメイトNegiccoだ。相手のファンを取り込むという目的もあるのだろうが、一番は2グループに揉まれZeppのキャパに見合うグループになるといった狙いもあるだろう。発表後、宮本が「必ず成功させて満員の景色でみなさんと最高の時間を過ごしたいと思います」とコメントしていたのも印象的であった。


 本編最後にはニューシングル表題曲である「君の知らない物語」を披露した。気迫に満ちたメンバーのパフォーマンスと、<あの夏の日 きらめく星>のように夏を描いた歌詞は冒頭で先述した、「また熱いアイドルネッサンスの夏がやってきます!」というセリフの真っ只中にいることを気づかせられると同時に、「続きを見せて欲しい」という気持ちにさせる、そんなライブだった。


(渡辺彰浩)