サービス残業が依然としてなくならない。NPO法人労働相談センターでは、「サービス残業をなくそう」を掲げ、厚生労働大臣宛てにサービス残業撲滅を目指す署名活動を行っている。
同センターのホームページには「サービス残業怒りの声」という専用ページがあり、サービス残業を強いられている人たちから寄せられた怒りのコメントが掲載されている。
「サービス残業は企業による労働力の強奪、窃盗行為だ」
サービス残業に苦しむ人のコメントを一部紹介する。
「会社の上の人たちは、私たちが2時間近くサービス残業しているのに、見て見ぬふり」
「毎週54時間働かされ、月に50時間・年間600時間残業してるんですが、1円も残業代を支払いません!」
「正社員という名の派遣です。サービス残業は当たり前の世界です。営業もサービス残業当たり前で案件を取ってくる」
ほかにも、上司が残業している間は帰れないだけでなく、毎日22時過ぎまでのサービス残業を強要されるサービス業の男性や、8時45分に出勤して深夜2時3時までサービス残業をしていたという広告業の男性も。この会社では「正社員3年離職率80%超」だという。
勤務先の退勤管理を指紋認証で行っているが、残業が必要な場合でも定時で退出したことにされてしまうことを嘆く病院勤務の女性もいる。「一度労働基準監督署の査察がはいったのですが、一向に是正されません」と書いている。
また、名ばかり管理職にして残業代を支払わず従業員を安い賃金で酷使したり、残業時間を上に報告すると解雇をちらつかせたりする企業も。結果として働く人はやる気をなくし、働くことに疲弊するという悪循環に陥っている。
こうした状況を「サービス残業は企業による労働力の強奪、窃盗行為だと思う」とコメントする人もいる。
3人に1人は残業代未払い 支払われても1万円未満が3割
日本法規情報が6月21日に発表した「労働さぽーと通信 相談者実態調査(調査対象942人)」によると、28%の人が残業代は「無給」と回答。およそ3人に1人がサービス残業をしている現状が明らかとなった。支払われたとしても、「1円以上1万円未満」と回答した人が31%であり、多くの人は無給もしくは非常に低い額の残業代しか支払われていない。
働く人は残業代に対する権利意識を強めている。「残業代がなくても必要であれば残業する」という回答は2013年調査時は36%だったが、2016年には14%までに減少した。残業代はもらうべきだという気持ちが高まっているようだ。
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