2016年08月09日 11:12 弁護士ドットコム
「殺処分をなくしたい」「ペットと人間が共生できる社会になってほしい」。そんな思いから発足した東京弁護士会の公害環境委員会・動物部会が7月中旬、「動物愛護法入門ー人と動物の共生する社会の実現へー」(民事法研究会)を出版した。
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「動物愛護法入門」では、行政やペット業者、飼い主、獣医師など、動物を取り巻く関係者が果たすべき役割を、動物愛護法に基づいてわかりやすく解説している。法律解説にとどまらず、ペット業界を取り巻く現状や、今後の課題をコラム形式でちりばめるなど、法律関係者以外でも手に取りやすい構成になっている。
課題として取り上げられているテーマはのひとつは、犬や猫などのペットに「マイクロチップ(個体識別情報)」の装着を義務付けるべきかという問題だ(現在は一部の動物を除いて努力義務)。「動物の体内に注入する際の安全性は?」「装着させる義務を負うのは販売業者か、それとも飼い主か?」「個体識別情報を読み取る機器の精度は?」など問題を多角的に検討する。
東京弁護士会は8月4日、出版を記念して、東京・霞が関の弁護士会館で意見交流会を開催。同部会の島昭宏弁護士は「そもそも、動物愛護法をわかりやすく解説する書籍がなかったので、一般の人でもわかりやすい書籍を作りたかった」と出版の意図を語った。
その上で、「単に条文解説をするだけでなく、『殺処分をなくす』『動物虐待をなくす』といった大きな目的を実現するために、次の(動物愛護法)改正に向けてどんな議論が必要なのか、課題があるのかといった点も示したかった。この本が、議論するひとつのきっかけになってほしい」と期待を込めた。
(弁護士ドットコムニュース)