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ポップミュージックをどうアップデートするか? 次世代音楽集団=LILI LIMITへの期待

2016年08月07日 15:01  リアルサウンド

リアルサウンド

LILI LIMIT

日々、夏フェスのニュースがタイムラインに届くシーズンがやってきた。そんな2016年、最もブレイクが期待されるバンド、それがポップミュージックを革新する男女5人組音楽集団、LILI LIMIT(リリリミット)だ。


 7月13日に、Ki/oon Musicよりリリースしたメジャー・デビューEP『LIVING ROOM EP』では、作品テーマを“日常”に設定。「Living Room」、「Kitchen」、「Unit Bath」、「Bed Room」といったタイトル通り、“家から一歩も出ず”に、日本語詞で独特な“非日常”を思わせる物語性を解き放つ。筆者が行ったインタビューで作品について牧野純平(Vo)はこのように語った。


「オケだけ最初に全曲あったんです。いろんなシチュエーションでそのオケを聴きながら、歌詞を思い浮かべてたのですがしっくりくるものが出てこなくて……。そこからある時、家のリビングルームにいるときに、“部屋っぽい音”が聞こえて、リビングルームというテーマが浮かびました。リビングルームは家の中心部分だから、そこから広がるEPになればって、全部部屋へとつながるテーマの曲タイトルへとなりました」(牧野純平/Vo)


 昨今、日本でもインディーロックや、ニューウェーヴ・リバイバルとでも言うべきセンスの新しい才能を持つバンドがYKIKI BEAT、D.A.N、yahyel、YOUR ROMANCEなど続々と登場しているが、LILI LIMITは日本語歌詞と歌えるメロディーにこだわりながらも、耳が喜ぶ音使いで届けてくれる新感覚なサウンドを鳴らしてくれる逸材だ。


「J-POPで聞くことが出来ないようなサウンドを楽曲に刷り込んでいきたいですね。世界で鳴っている音を同時進行でバンドとして鳴らしたいんです」(土器大洋/Gt)


 洗練されたアートワークのセンスからも、現代アート的なユニークさを感じさせてくれる。J-POPを進化させようとする心意気を感じさせながらも、海外の第一線で活躍するポップミュージック・バンドともシンクロニシティを感じる自由さが魅力的だ。


「今回メジャー・ファーストEPだったんで、挑戦したい気持ちが強かったんです。今まではインディーズという自分たちのフィールド、自分たちの世界観重視って感じだったんですけど、より枠を外して、もうちょっと広くいろんな人に届けるためにはどうすべきかを考えました。歌詞の書き方も変えました。歌メロも、これまでは自分で作っていたんですけど、土器が作るようになりました」(牧野純平/Vo)


 そんな、ロックバンドとしての佇まいを超えた、芸術性とポピュラリティーを合わせ持つ、ポップミュージックを次世代にアップデートする5人組バンド、LILI LIMIT。しかし、彼らの本質は、骨太な演奏を聴かせてくれるライブにある。8月7日、『rockin’on presents ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016』、8月20日、『SUMMER SONIC2016』への出演を経て、新規なオーディエンスとの邂逅、その才能を発見されることでさらなる成長を遂げるだろう。


「良い曲を作り続けていきたいです。前のアルバムを越すっていう作業を永遠とやり続けたいと思っています」(牧野純平/Vo)


 攻め続けながらも安定感を増していくバンドの軌跡は、メンバーが共有しているビジョンが明確な証だ。そして、2016年10月26日には初のフルアルバム『a.k.a』のリリース、初のワンマンツアー『LILI LIMIT ONE MAN TOUR Good Bye Velvet』が発表されたばかり。革新的なバンドとしての輪郭が見えてきたLILI LIMIT。さらなる音楽的挑戦へと突き進み、次世代シーンを牽引していくこれからの姿に注目していきたい。(文=ふくりゅう(音楽コンシェルジュ))