ハースF1チームのオーナーであるジーン・ハースは、フェラーリとのコラボレーションから、さらに多くの成果を引き出したいと希望を述べた。スクーデリアの「ためらいがちな姿勢」に、軽い苛立ちを感じているという。
ハースはデビューシーズンの前半戦で、28点の選手権ポイントを獲得した。ただし、このうち22点は序盤の4戦で記録したものだ。これについてハースは、フェラーリとの提携がまだ十分に活用されておらず、それさえできれば、さらに多くの得点も可能だったと考えている。
ハースは、マラネロからエンジンの供給を受けているだけでなく「指定パーツ」の規則を利用して、フェラーリ製の部品を多数使用している。
「フェラーリとの提携は、とてもうまく機能している。さらに望むとすれば、もっと多くのものを引き出したい」と、ジーン・ハース。
「フェラーリの側には、私たちとの提携に関して、ややためらいがちな姿勢も見られる。FIAの規則の問題があるからだ。ルールに一切抵触しないように、彼らはあらゆることに極度に慎重になっている。もちろん私たちの提携で行われていることについて、FIAに何の隠しごともしていない。だが振り返ってみれば、もっとできることがあったような気もする」
ハースが「もっとできることがあった」と考えているのは、とくに「クルマの開発」に関してだ。
「多くの人が、ハースのクルマはフェラーリとほとんど同じだと思っている。だが、実際にはかなり違うところがあるし、私たちはシャシーの扱い方が理解できずに苦労している。フェラーリから多数のパーツが供給されていても、それらがどう機能するかについての情報は、開示されていない部分も少なくない」
「そうなると、結局はそれを知っている人間を雇うしかない。私たちは白紙の状態からチームを立ち上げ、ここまで自力で学ばなければならないことが、ものすごく多かった。そして、どうすればクルマを機能させられるか、より深く理解するために、また人を雇う必要に迫られている」
「(ルールがあるので)フェラーリへ出向いて『これは、どう機能するの?』と質問することはできない。すべて自力で探し当てなければならないんだ。おそらく私たちの最大の弱点はそこにある。フェラーリから来るコンポーネント、ダンパー、サスペンション、ERSといったものが、どう働くのか、まだ完全には理解しきれていない。そのすべてを短期間で把握するのは、なかなか容易なことではないんだ」
フェラーリとしては、すべてが公明正大で、かつFIAに許容されるように留意せざるをえない。それは十分に理解できるが、だとしても彼らは少々慎重になりすぎている、とハースは主張する。
「突き詰めて言えば、フェラーリにはメルセデスに勝つという目標があり、私たちにはグリッド後方の競争相手に勝つという目標がある。いわば共通の目標を持っているわけだ。それを実現するために私たちにできることは、何であれ双方の役に立つはずだ。だから私は、もっと提携を強化するのが、双方にとって良いことだと思う」
「ところがフェラーリは、ものすごく慎重になっている。彼らはFIAの指示を、すべて厳密に守ろうとしているからだ。その態度があまりに生真面目なために、私たちとしては少々苛立ちを感じるほどだ」