ルノーはF1ワークス活動について、親会社からの追加投資も受けながら、当初の5年計画を前倒して進めようとしている。
今年からワークスチームとしてF1に復帰したルノーは、ひとまず結果を残すことよりも、ロータスとしての最後の年に財政難に苦しんだエンストンのチームの再構築に専念している。プロジェクトの開始から半年を経て、ルノー本社は、選手権を争うポジションまで達する時期について、当初の計画の2020年よりも早めたいと考え始めたようだ。
ルノー・スポールのシリル・アビテブールは、次のように語っている。
「投資に関して言えば、これまでの計画を前倒して実施しながら、パッケージの総額も増やすことになる。当初は5年計画で考えていたが、2週間ほど前に、投資パッケージの増額と前倒しが承認された」
「私たちが望んでいるのは、できるだけ限り早い時期に一定の成績をあげることであり、従来の5年計画でやるべきことを、より短期間で実現するのが最良の方法だ」
また、アビテブールは、ロータスがルノーに買収される前の2015年に、5700万ポンド(約80億円)の損失を出したという先日の報道について、チームの計画に影響を及ぼすことは一切ないと述べている。
「すでに周知の事実だったし、ルノーも完全に承知していた。つまり、ロータス・チームが財政的にどんな状態にあるかは全部わかっていたので、負債の額を見ても少しも驚きはしなかった。それもすべて計画に含まれていて、計画はCEO(カルロス・ゴーン)によって承認されている」
「あの報道によって、私たちの買収交渉に予想以上に時間がかかった理由が、少しは理解してもらえるかもしれない。公表されたロータスの負債は、長期的な債務を適正に評価した額であり、昨年のうちに処理された。実際、多額の投資が必要だった理由も、そこにある」
「チームを存続させるための唯一の方法を、ルノーが引き受けて実行したということを、これで世間の人々にも知ってもらえるといいのだが。ルノーが買収しなければ、このチームは消滅していたはずだ」
ルノーは、すでに開発の主力をレギュレーションが大幅に変わる2017年のマシンへと移している。アビテブールは、その判断を含めた、ここまでの進歩に満足しているようだ。
「エンジンに関しては、完全に計画どおりに進んでいる。今季は信頼性も十分に確保されていて、それ自体がすばらしいことであると同時に、今後はパフォーマンスの向上に専念できるという意味でも良いことだ」
「2017年のエンジンは、ごく近いうちにダイナモでのテストが始まる。かなり良いものができたと思う。今度のエンジンは、とても野心的なものだ。だが、私が何よりもうれしいのは、しっかりしたエンジン開発の体制を構築して、そうした野心的なアイデアを追求できるようになったことだ」
「シャシーについては、空力のレギュレーションが大きく変わるので、エアロダイナミクスの開発にもアグレッシブな目標を設定した。2017年のクルマのデザインは、風洞に入れるたびに大きな進歩を示している。特にラップタイムに直結するダウンフォースはものすごく大きいから、かなり期待できそうだ」