SUPER GT Rd.4 SUGO 300km
2016/7/23~7/24
TEAM RELEASE
Arnage Racing
ペースがつかめないまま、駆動系のトラブルに見舞われ無念のリタイヤ。
次戦の富士で、流れを取り戻す!
Rd.2から2ヵ月月半、Rd.3オートポリス大会が中止になってしまったために生じた2ヶ月半の長いインターバルが終わり、待ちかねた夏のレースシーズンがようやくやってきた。ガレージではこの期間を利用して、細部にわたってメンテナンスを行い、富士ラウンドで現れた電源系の不安を取り除くべくオルタネーターを新品に交換した。
菅生ラウンドに先立ち、チームは7月8、9日に鈴鹿サーキットで行われた公式テストに参した。テストデーは両日とも曇りと雨の芳しくない天候だったが、5月初旬の富士ラウンドから2ヵ月の空白を埋めるように、安岡選手、凜太郎選手、加納選手がそれぞれマシンの感触を確かめ、ドライビングの感覚を取り戻した。マシンの調子も終始順調で、チームは多くのものを得た。テスト初日のドライ路面の間に夏の連戦に向けて新たなセットアップの方向性を見つけたこと、2日目のウェットコンディションではレインタイヤのセッティングを確認できたこと、そして何より凜太郎選手がレインタイヤでのGTカーのドライビングを経験できたことは、特に大きな収穫だった。
鈴鹿テストの後は、短いインターバルでの連戦となる。テストでの収穫を踏まえ、菅生ラウンドに向けての調整が行われ、これまでの2戦の良い流れを保てるよう作戦が話し合われた。並みいる新型マシンに比べると戦闘力の劣るMercedes Benz SLS AMGが少しでもレースを有利に戦えるように……
July 23rd Qualifying Day
天候:曇り 路面状況:ドライ 気温:Q1時21℃ / 路面温度:26℃ 入場者;8,200人
真夏の四日市から一転、梅雨のまだ明けない宮城県のスポーツランド菅生は肌寒く、搬入日こそ太陽が顔をのぞかせていたが、予選の行われる土曜日になると空が厚い雲に覆われる天候となった。午前9時15分から行われた公式練習も、気温は20度と低く、路面温度が上がりきらないままのスタートとなった。Arnage Racingは安岡選手から早々とコースインして、途中凜太郎選手と交替しながら、翌日の決勝に向けてのセッティングを煮詰めていった。マシンは鈴鹿公式テストから続いて好調だったが、予想通り他のマシンに比べて非力さは明白であった。午後になっても気温はなかなか上がらず、7月中旬とは思えないような肌寒さの中、14時30分から予選が始まった。この菅生のコースを得意とする安岡選手がQ1に出たが、Q1においてもトップ勢が軒並み1分18秒台をマークするなか、1分21秒台に入れるのがやっと。明日の決勝に向けてタイヤ温存だけを考えて、当初の計画通り安岡選手は4周でアタックを終了、結果は1’21.448で、出走28台中最後方のグリッドから、300㎞の菅生ラウンドの決勝を戦うことになった。
予選の結果は以下の通り
P1 #25 VivaC 86 MC 土屋武士 / 松井孝允 (1'17.493)
P2 #31 TOYOTA PRIUS apr GT 嵯峨宏紀 / 中山雄一 (1'17.995)
P3 #61 SUBARU BRZ R&D 井口卓人 / 山内英輝 (1'18.108)
P28#50 ODYSSEY SLS 安岡秀徒 / 久保凜太郎 (1'21.448)
July 24th Race Day
曇り/ドライ 気温:20℃→23℃ / 路面温度:22℃→26℃ 入場者:29,500人
決勝日になると空模様はさらに怪しく、時折厚い雲から細かい雨粒が落ちてきてコースを濡らす。午前9時からのフリー走行では早々にウエット宣言が出され、チームは一旦ドライタイヤで凜太郎選手をコースに出したものの、すぐにマシンをピットに戻してレインタイヤに交換した。ODYSSEY SLSは、鈴鹿公式テストで順調だったレインタイヤでの走行を再現するように、非常に好調なところを見せ、18位で朝のフリー走行を終えた。
午後になると雲は多いものの雨の気配はどうにか収束し、路面は概ねドライとなった。14時の決勝スタートに向けて8分間のウォームアップ走行が行われ、ここ菅生でもスタートを任された凜太郎選手が、一旦コースに出て3Lapほどを走行した。ところが、ウォームアップ走行後、マシンをピットからグリッドに向けて出すタイミングで、電気系のトラブルが発生してエンジンがかからない。メカニックが慌ててマシンをチェック、エンジンは何とか無事に始動したが、規定時間内にコースにマシンを出すことができなかった。 Arnage Racingはレギュレーションにより、スターティンググリッドにマシンを並べることが許されず、ピットスタートでレースを戦うことになった。
定刻14時、白バイ先導のパレードランの後セーフティーカーのフォーメーションラップと続き、300㎞のレースがスタート。ピットレーン出口から、満を持して凜太郎選手がGT300クラスの最後尾にマシンを付け、Arnage Racingもレースをスタートした。コースの狭い菅生らしく、レースはスタート直後から500クラス、300クラスのマシンがそれぞれ鎬を削るような場面が繰り広げられ、アクシデントが続発した。そして、これまでの2戦、そのようなスタート直後の混戦を巧みに切り抜けて早々のポジションアップに成功してきた凜太郎選手が、ここ菅生でも最後尾からの追い上げをかけるはずだった。ところが、スタート当初から凛太郎選手のペースがまったく上がらない。無線からは「ペースがつかめない!」と訴える凜太郎選手の声。タイヤカスを拾ってしまい、思うようなリズムに乗れないのだ。しかも、凜太郎選手はウォームアップ走行の際の黄旗追い越しをとがめられ、9Lap目にペナルティを消化するためピットレーンを通過。周回遅れとなったために青旗提示(後続の300クラスの車両をパスさせるようにという警告)を受けて、ますますペースが落ちていく。
苦しむ凜太郎選手を一刻も早く交替させたいチームは、ドライバーチェンジの用意をして、凜太郎選手が予定周回数の23Lapをクリアするのを今か今かと待っていた。ところが、昨年の菅生の悪夢の始まりを思い起こさせる展開が待っていた。チームがピットインのサインを出した、まさにその23Lap目、最終コーナーでクラッシュが発生してセーフティーカーが導入されたのである。今シーズンからセーフティーカーが入ったタイミングでのピットインは禁止されており、Arnage Racingは安岡選手に怒涛の追い上げを託す好機を逸してしまった。30Lap目、ようやくレースが再開。前方のマシンのアクシデントなどで、凜太郎選手は最後尾の27位から4つほどポジションアップして23位まで浮上してきていた。待ちかねたチームはようやく凜太郎選手を呼び戻す。
Arnage Racingの十八番であるタイヤ無交換作戦で、給油とドライバーチェンジのみのピット作業を終え、早々に安岡選手をコースに戻すシナリオが準備されていた。ところが、ここで、レースの歯車を狂わせるアクシデントが、更に起きてしまう。予定よりも素早くドライバーチェンジを終わらせた安岡選手がエンジンオンのタイミングを間違えてしまい、給油が終わらないうちにエンジンをかけてしまったのである。このため、チームはピット作業に手間取り、タイヤ無交換作戦で稼ぐはずのマージンを却って失ってしまうことになった。
ようやく安岡選手がコースに車両を戻したときには、ODYSSEY SLSは見かけ上の順位が22位となっていた。それでも、74周のレースはまだ中盤、40周近く残されている。しかもその時点でピットインを済ませていないチームがまだまだ多く、安岡選手がこのままペースをキープすればさらなるポジションアップを望み得た。安岡選手は追い上げを開始した。マシンは前半とは別物のように好調な走りを見せ、コースに復帰後安岡選手はすぐに、ベストラップとなる01'22.431をレコード、41Lap目に20位まで順位を上げた。
しかし、狂った歯車を修復する間もなく、Arnage Racingのレースは突然終わりを迎えた。安岡選手に交替してわずか15周目の47Lap目、「駆動がなくなりました」と安岡選手の落ち着いた声が無線から流れて、ODYSSEY SLSは、静かにコースサイドにマシンを止めた。安岡選手がマシンから降り、Arnage Racingの菅生ラウンドはあっけなく終了した。
その後も、レースは荒れた展開が収まらなかった。残り6Lapというタイミングに最終コーナーで起こったクラッシュのために赤旗中断となり、結局そのまま74周を待たずにレースは終了。終わってみれば両クラス併せて6台のマシンがリタイヤ、「魔物がいる」と言われる菅生らしい幕引きとなった。
レース終了後、ピットに回収されたODYSSEY SLSはメカニックの手でチェックされ、駆動を失った原因が、左側のドライブシャフト折損だと判明した。また、Arnage Racingは「給油中のエンジン始動」のペナルティを受け、決勝結果に37秒が加算されることになった。
P1#31 TOYOTA PRIUS apr GT 嵯峨宏紀 / 中山雄一
P2#25 VivaC 86 MC 土屋武士 / 松井孝允
P3 #61 SUBARU BRZ R&D 井口卓人 / 山内英輝
リタイヤ #50 ODYSSEY SLS 安岡秀徒 / 久保凜太郎
<チーム代表 伊藤宗治>
多くのスポンサー様やファンの皆様に応援していただいたにもかかわらず、レースの途中で駆動系のトラブルに見舞われ、リタイヤという結果になってしまいました。いろいろ作戦を練ったにもかかわらず、すべてが裏目に出てしまうというレースでした。しかし、まだまだシーズンはこれからですので、もう一度チームが一丸となってArnage Racingらしいレースできるよう、いろいろなことを見直して頑張りたいと思います。今後ともArnage Racingの応援を宜しくお願いいたします。
<ドライバー 安岡秀徒>
お疲れ様でした、といってもすごく短かったのであんまり疲れてないんですけど…(苦笑)
今回のレース、いろいろ残念なことがあったんですけど、週末を通していわゆるペースがなくて、仕方がないから作戦で上を目指そうっていうことだったんですけど、車が壊れてしまって完走できなかったことが、まず残念。加えて、レースの流れとしてミスなくやらなきゃいけないところで、ウォームアップの凜ちゃんのペナルティあり、レース中の接触もあったみたいだし、途中でドライビングの不調を訴えていたりして。その上に僕も、給油が終わる前にエンジンかけてしまって、それもペナルティの対象なので、それも残念なことでした。一番プレッシャーのかからないようなポジションで、気楽にレースをすればいいところだったのに、今回はタイヤ無交換作戦に燃え過ぎて(笑)、気負っちゃったんでしょうかね…僕個人としては、この大好きな菅生で、気持ちよく走れる車にならなくて、それも残念。とはいっても、一つずつレースが消化していってしまうわけで、チームとしての山場の鈴鹿がもう次の次まで来ちゃってる中で、その準備段階として、凛ちゃんと僕のコンビがもうちょっと機能するようになってこないと、困るなあっていうのが正直なところですね。だから富士がその前のラストチャンスで、まあ今年二回目のサーキットで、きっともっとうまくできるはずなので、まあ今回は、(前のレースから)間も空いて、きっと早く走りたい、レースをしたいっていう気持ちが強すぎたんじゃないかなと思いますので、次は大丈夫です。次も頑張ります。応援ありがとうございました。
<ドライバー 久保凜太郎>
菅生はずっと自分の好きなサーキットで、何に乗っても調子がいいサーキットでした。ただ練習走行を走り出してみて、車のバランスを整えていくうちに、クルマ的に非常に苦手なサーキットだとわかりました。タイヤとのマッチングとかの部分でもあんまりうまくいかなかったし、加えてピットスタートがあって、自分のウォームアップの黄旗追い越しでドライブスルーがあって…その黄旗追い越しの時くらいから、多分変なスイッチが入って、やるぞ~~っていう感じが空回りしていく方向になり、いざスタートしてみたら、まったくうまく走れませんでした。抜かれるときに譲りすぎる、しかもラインを外してタイヤカスを拾って、自分が一番損して、集団から抜けたのに全然ペースが上げられない感じでした。そんな中でタイヤ温存もしなきゃ…、あれもこれも…みたいな、もう、いろいろ頭の中ぐちゃぐちゃの状態で、気が付いたらドラチェンって言われて、ああもう、そんなに走ったのかっていうような。だから、あんまり実感がなくてどうだったか、あんまり覚えてない。だから、落ち着いて、タイヤ無交換だからとか、何かをしっかり考えて組み上げられたレースではなかったんです。ただ、自分のスティントの後半で、タイヤカスが取れたらちょっとグリップが上がってきていたし、そのあとに乗った安岡さんがタイヤは残ってたって言ってたから、無交換に向けて、気を付ける部分は、なんとなくイメージはできた。だから次の富士で無交換だろうと思っているので、それに向けては前回の富士よりは、うまく走れるんじゃないかとは思っています。次は頑張りたいと思います。
次戦は8月6日、7日に富士スピードウェイで開催予定の第5戦富士ラウンドとなります。引き続き、応援のほど宜しくお願いいたします。
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