2016年08月04日 19:12 弁護士ドットコム
大手デイサービス「茶話本舗」の宮城県にあるフランチャイズ店舗に対し、仙台労基署が是正勧告を出していたことがわかった。労働組合「介護・保育ユニオン」が8月4日、厚労省記者クラブで記者会見を開き、報告した。
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介護・保育ユニオンは元従業員の女性から相談を受け、このフランチャイズ事業所と団体交渉している。是正勧告の内容は、賃金未払いや休憩時間を取らせなかったことなど。組合の試算によると、この女性に対する未払い賃金はおよそ74万円になるという。時間外労働をさせる際に必要な労使間の「36(サブロク)協定」も結んでいなかった。
組合はこの日、「茶話本舗」を運営する「日本介護福祉グループ」に対し、フランチャイズ事業所への指導や労働環境の調査を求める要望書も提出した。
組合に相談した30代のA子さん(宮城県在住)は2013年12月から2015年10月まで、この事業所で働いていた。人手が少なく、日勤では10人近い利用者を2人で見ることもあったという。利用者の入浴や排泄があれば、1人で残りの利用者に対応しなくてはならない。勤務中は休憩もろくに取れなかったとうったえる。
夜勤は1人体制。呼び出しもあるため十分な仮眠を取れず、A子さんは日中できなかった利用者の薬の小分けや、書類作業などを行っていたという。だが、実際には休めていなかったにもかかわらず、毎日1~2時間ほどが「休憩時間」として労働時間から引かれていた。退職した後も、事業所から離職票を発行してもらえず、失業給付を受け取れなかったという。
これまで、2度の団体交渉があったが、労働時間が5分単位で丸められていることや、休憩時間の解釈をめぐって、意見は対立したままだ。厚労省記者クラブで会見した女性は「介護する方にも気持ちの余裕を与えてほしい。いっぱいいっぱいだと良い介護はできません」と語った。
弁護士ドットコムがこの事業所に取材したところ、社長の男性は「労基署からの指導に沿って労働環境の改善には対応していく」と回答。今後の団体交渉については「弁護士と相談しながら考えたい」と話した。
(弁護士ドットコムニュース)