メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは、今季フェラーリとのコース上でのバトルが見られなくなっていることを残念に思い、彼らの復調を願っていると述べた。
フェラーリは2015年に3勝をあげており、今年は彼らが両タイトルに本格的に挑み、メルセデスとも昨年以上に激しい戦いを繰り広げるものと期待されていた。
ところが、実際にはシーズン前半の12レースを終えても、フェラーリはまだ1勝もできていない。それどころか、選手権ではレッドブルに抜かれて3番手で夏休みを迎えている有様で、かなり苦しい内情をうかがわせる成績となっている。
ウォルフは、フェラーリとの戦いがもっと接戦になることを望んでいたと認め、こう語っている。
「フェラーリは偉大なブランドであり、優秀なスタッフを大勢抱えている。コース上でもっと彼らと戦えれば楽しいのだが。何らかの理由があって、最近のレースでフェラーリは本来の水準で戦えていない。つまり、彼ら自身が期待し、私たちも期待していた水準だ」
「メルセデスとフェラーリがバトルをするのは、F1全体にとって良いことだ。私がこう言うのは、少々おかしなことに聞こえるかもしれないが、私としては、彼らとの白熱した戦いができる日を心待ちにしている。フェラーリが本来の速さを取り戻し、彼らとコース上で戦えることを願っているんだ」
フェラーリは、すでに来季の新規定マシンの開発に集中し始めたとも言われており、彼らがそれをきっかけに体勢を立て直す可能性は高いと、ウォルフは見ている。
「フェラーリを簡単に見限ることはできないと思う。最近は確かに苦戦しているし、どうやら早々に2017年のクルマの開発に主力を移したようにも見える。それでも、あれほどの規模のリソースと、あれほど強い情熱を持ったチームを侮ることはできない。それが私の見方だ」
とはいえ、ウォルフも、当面はレッドブルがメルセデスに最も近いライバルになると考えている。そして、クリスチャン・ホーナーの率いるこのチームが、夏休み明け以降もプッシュしてくるだけでなく、今季の好調さを礎にして来年も力を伸ばしてくると予想する。
「(レッドブルを)恐れているわけではない。私たちの予想は、ハンガリーではひどく苦戦し、レッドブルが良いパフォーマンスを見せるというものだったが、実際にはその反対になった。メルセデスの競争力はきわめて高く、それはシルバーストンでも同様だった」
「ホッケンハイムも厳しいレースになると思われながら、そうはならなかった。要するに、いつでも明快に読みきれるほど、状況は単純ではないということだ。来年、彼らはさらに力をつけてくるだろうし、今季の後半戦でも油断はできない。それは間違いないと思っている」
「私がずっと言い続けているように、ひとつのチームがほとんどすべてのレースで勝つというのは、きわめて特殊な状況だ。私たちは、すでにこれを2年半も続けてきたが、今後もずっと続くとは思っていない」