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新木優子らが宇宙人に本音トーク『ラブラブエイリアン』なぜ人気? “ドラマなきドラマ”の魅力

2016年08月04日 11:51  リアルサウンド

リアルサウンド

『ラブラブエイリアン』公式サイト

 女優・ファッションモデルの新木優子が連続ドラマ初主演を務める『ラブラブエイリアン』(フジテレビ、毎週水曜深夜1時55分~)が、女性視聴者を中心に密かな人気を集めている。同作は、岡村星の同名漫画をドラマ化したシチュエーション・コメディで、突如女性の家に不時着した手のひらサイズの宇宙人と、その宇宙人と同居することになった女性たちの日常を描く。


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 先述の新木優子ほか、森絵梨佳、太田莉菜、久松郁実ら、女性からの支持の高い若手女優が出演しているものの、決してドラマチックな展開になるわけではなく、そのほとんどが彼女たちの歯に衣着せぬ“本音トーク”で構成されている本作。そこにはどんな魅力があり、視聴者を惹きつけているのか。


 映画・ドラマに詳しいライター・須永貴子氏に話を聞いた。


「彼女たちの本音トークは、もともとテンポが良くて面白いのですが、そこに『二人の宇宙人』の存在を交えることで、さらに会話劇の魅力を引き立てています。バッグの中に入るぐらいの小さい宇宙人が、一歩引いた位置から厳しいツッコミーーというより彼女たちを呆れた姿で眺めることで、客観的な視点を加えているんです。宇宙人という別次元の存在からすれば、普段自分たちがしているような言い争いなんかは何でもないんだ、と視聴者にも思わせることに成功しています。でも、だからといって説教臭さはないので、彼女たちの“日常”に自分も参加しているような気持ちで観ることができる。彼女たちの遠慮しない関係性は、その話の内容から男性にとっては刺激的に映るかもしれませんが、女性から見ると羨ましくもあるのでは。特に、森さんが演じる美容師の由日子はあれだけ綺麗なのに、家だとびっくりするぐらい口が悪いところとか、現実にいそうなキャラクターで観ていて面白いです。四人が演技していることを感じさせないところも、役者の力量が伺えて興味深いところ」


 深夜帯ドラマでは、『孤独のグルメ』、『山田孝之の東京都北区赤羽』など、ほかにも“日常”を描く作品が視聴者の支持を集めてきた。


「王道のテレビドラマの場合、女性たちが集まる舞台となるのはオシャレなカフェやバーが多かったと思います。そのきらびやかな世界は、多くの視聴者にとって憧れの場所でもあったはずです。一方で、本作はほとんど“家”の中でドラマが展開されていきます。もしかしたら、いまはもっと気楽で手が届く世界の方が、人々に求められているのでは。彼女たちには本音で話せる友達と、気兼ねなく楽しめる“居場所”があります。『孤独のグルメ』、『山田孝之の東京都北区赤羽』なども、見方によっては自分の“居場所”を探す物語でした。深夜にひとりで見るドラマとしては、登場人物たちとともにリラックスできる日常系の作品が適しているということかもしれません。もっとも、家に宇宙人がいるのはものすごく非日常的なことではありますが(笑)」


 最近では、池松壮亮と菅田将暉が河原で延々と無駄話を繰り広げるだけの映画『セトウツミ』が、その独特な作風で話題となったが、こうした“ドラマなきドラマ”といえそうな作品こそが、いまの視聴者の気分にマッチしているのかもしれない。(リアルサウンド編集部)