世界ラリー選手権(WRC)に参戦するMスポーツは、暫定仕様の2017年型フォード・フィエスタWRカーのテストを開始した。
この暫定型フィエスタには、2017年規定に合致したエンジンとギアボックスが搭載されているが、それ以外のパーツは現行のフィエスタRS WRCと変わっておらず、外見も新型シャシーに合うように設計されたリアディフューザーが取り付けられているのみだ。
マシンの試走はイギリス国内のカークブライド飛行場で行われ、その後、Mスポーツ代表のマルコム・ウィルソン自らがステアリングを握って、Mスポーツの開発拠点でシェイクダウンが行われた。
■Mスポーツ代表「マシンの感触に興奮」
「このマシンの感触に、心から興奮している」とマルコム。
「Mスポーツが作るほぼすべての新型車両は、自分の手でシェイクダウンしているんだ。開発チームやドライバーがどういったクルマを目的にしているのかを感じたいからね」
「17年型マシンは、完璧に感じられた。もし、どこかに問題が出ても開発チームの誰も責めることはできないと確信できるほどだった」
なお、シャシーや空力パーツなども一新した完全な17年仕様のマシンが登場するのは9月ごろになるとみられているが、現時点でフォードがベース車両の最新モデルを発表しておらず、スケジュールは不透明な状況にある。
今後、この暫定マシンはマルコムの息子であるマシューの手によって、1週間に4日程度のハイペースでテストが続けられるという。
マルコムは「このマシンは開発車両として、かなり高額な部類に入るだろうが、かなり豪華な見た目になるはずだ」とつけ加えた。
「いたるところに職人の技量が発揮されていて、見ているだけで感動を覚えるよ。彼らは本当に素晴らしい仕事をしてくれた」
「今後は(Mスポーツの開発拠点がある)グレイストークで、耐久試験を実施する。そこでデータを蓄えながら、セットアップ作業も行っていくつもりだよ」
■17年のWRCに参戦予定の全メーカーがテストを開始
Mスポーツがテストを始めたことで、2017年のWRCに参戦する全メーカーがテストを開始したことになる。
現在、シリーズ3連覇中のフォルクスワーゲンは1年以上の歳月をかけて17年型ポロR WRCを開発しているほか、シトロエンも4月からC3 WRCをテストを始めている。また、トミ・マキネン率いるトヨタも今年上旬からテストを本格化させた。
残るヒュンダイはMスポーツと同様、暫定型マシンでテストを進めているが、今シーズン開幕前から車両開発を進めている。