7月29~31日に、ベルギーのスパ・フランコルシャンを舞台にブランパンGTシリーズ・エンデュランスカップ/インターコンチネンタルGTカップの一戦として開催されたトタル・スパ24時間。この場で、SROモータースポーツ・グループを率いるステファン・ラテルが、2017年以降に向けたプレスカンファレンスを行った。
ブランパンGTシリーズを中心に、急速に発展した市販レーシングカーのGT3。スーパースポーツカーでレースをしたい……というジェントルマンドライバーの支持を受け、ヨーロッパを中心にアメリカ、アジアと数多くのシリーズで活用されている。そのGT3の考え方を生んだのがラテルであり、SROはGTカーレースの世界的な中心組織となっている。
■世界に展開するSROのGT3ピラミッド
そんなGT3の2017年に向け、ラテルは7月29日に開催されたプレスカンファレンスで、日本でも2戦が開催されるブランパンGTシリーズ・アジアをはじめ、17年のGT3戦略を語った。
SROが2017年に開催するシリーズとしては、下記が挙げられる。このなかで、ブランパンGTシリーズは開催数は不変。開催地の小変更に留まっており、隆盛を誇るシリーズの堅持を掲げている。また、頂点に君臨するFIA GTワールドカップ、インターコンチネンタルGTカップ、ブランパンGTシリーズまでが主にマニュファクチャラーに向けたものと位置づけられている。
●SROが2017年に運営するシリーズ
・FIA GTワールドカップ
(GT3/年1回/マニュファクチャラー向け)
・インターコンチネンタルGTチャレンジ
(GT3/年4戦/セパン、バサースト、スパ、ラグナセカ。マニュファクチャラー向け)
・ブランパンGTシリーズ
(GT3/ヨーロッパで全12戦/エンデュランスとスプリントの2シリーズ。マニュファクチャラー&チーム向け)
・ブランパンGTシリーズ・アジア/イギリスGT
(GT3&GT4/地域シリーズ/チーム向け)
・GT4ヨーロピアン・シリーズ
(GT4/欧州をふたつに分けイギリス、ドイツ、東欧等のノーザン・カップ、フランス、スペインのサザン・カップを開催。サザン・カップはフランス自動車連盟のFFSAと協力)
・ブランパン・GTスポーツクラブ
(カップカーや旧GT3を使用/ヨーロッパで全5戦/ジェントルマン向け)
・ブランパン・ウルトラスポーツカークラブ
(レース出場のカテゴリーが当てはまらないブガッティ・ヴェイロンやマクラーレンP1等のウルトラスポーツの走行イベント/ジェントルマン向け/2017年から、90年代GT1ベース車両の走行も)
●提携シリーズ
・ピレリ・ワールドチャレンジ
(GT3ほか/北米開催/インディカー等と併催多数)
・スーパーGT
(GT500&GT3・JAF-GT/GT3のバランス・オブ・パフォーマンスで提携)
■GT4の普及をアピール。SROが形成するGTレースの世界
また一方で、SROモータースポーツ・グループはGT3へ繋がるカテゴリーとして、GT4に力を入れることをこのプレスカンファレンスでアピールしている。先述のように、ヨーロッパでSROがオーガナイズするGT4ヨーロピアン・シリーズを開催。また、GT4のロゴも新しく設けられた。
このプレスカンファレンス直前には、BMWが新たなカスタマー車両としてBMW M4 GT4をリリースすることを発表しており、ラテルはこれを例にとり、今後GT4が重要であるとアピールした。改造範囲が狭く、非常にリーズナブルなGT4は、今後GT3を目指すチームやドライバーにとって重要なカテゴリーとなっていきそうだ。
これらのシリーズを開催することにより、SROは世界的にGT3/GT4のネットワークを形作ることになる。ラテルは「SROモータースポーツ・グループによるすべてのシリーズが健全に行われていることを嬉しく思う」と語っている。
「チームとドライバーだけが現代のGTレースを形成するものではない。これまでにも増加しているファンの数こそが完全にレースを評価するものだ。SROモータースポーツ・グループは、来たる将来、長きにわたって世界最高のGTレースを提供するために最善を尽くす」