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高校生ドライバー佐藤万璃音イタリア挑戦記 第6回:アロンソのフィジオが運営するジム

2016年08月02日 15:11  AUTOSPORT web

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バランスとウェイト使って体幹を鍛える
日本の高校生ドライバー、佐藤万璃音がイタリアFIA-F4に参戦する挑戦記。イタリアの田舎町で一人暮らしでレースを続ける佐藤万璃音。第6回目は、イタリアでのトレーニング模様をお届けする。

■アロンソのトレーナーが営むジム

 レーシング・ドライバーにとって、大事な仕事のひとつが普段からのフィジカル・トレーニング。しかし、人口12万人程度に過ぎないイタリア中部の田舎町フォルリに住む佐藤万璃音にとって、果たして適当な施設などあるのだろうか? という疑問が湧く。

「その点は問題ありません。昨年までは、ヴィンチェンツォ・ソスピリ・レーシング(VSR)のファクトリーに併設された、フィジオロジー・センター(FISIOLOGY CENTER)へ通っていました。フェルナンド・アロンソさんのフィジオを務める、ファブリッツィオ・ボッラさんが運営に関わっているジムです」



「ただ、フィジオロジー・センターには常駐の担当者が居ないので、今年からはフォルリ市街にあるドライバー・プログラム・センター(DRIVER PROGRAM CENTER)へ通い始めました。いまはイタリアFIA-F4をVSRで戦っているチームメイトとふたりで、時間の許す限り足を運んで身体をいじめています」

「お世話になっているドライバーの多くがイタリア人ですが、有名どころではポーランド人F1ドライバーのロバート・クビサも通っていました。フォーミュラ、GT、プロトタイプなど、カテゴリーを問わず多くのドライバーがここで面倒を見てもらっています。フィジカル・トレーニング、メンタル・トレーニング、フィジオセラピー、さらにはサーキットでのケアも万全なのでありがたいですね」

 という話の流れで、万璃音や彼のチームメイトと一緒にドライバー・プログラム・センターへ。


■「少しウザイ(汗)」と漏らすほど厳しいメニュー

「僕らを担当するフィジオは、ジョゼ・エンリケ・ポレッティというブラジル人です。彼はとても熱心に僕らの面倒を見てくれるのですが、ジョゼをひと言で表現すると日本の元プロテニスプレイヤー松岡修三さんタイプ。つまり、こちらが引いてしまうくらいの熱血指導が身上なので、ココだけのハナシ、少しウザイ(汗)」

「しかも、僕らが嫌いなトレーニング・メニューをわざと立て続けに課してくるので、そのたびに“コイツ、いつか復讐してやる!”と心に誓います。とはいえ、レースのたびに専用のクルマでサーキットへ乗りつけ、マッサージをしようか? 疲れたらベッドで横になっていれば? と世話を焼いてくれる優しい面もあります」

「ドライバー・プログラム・センターは、フォルリという田舎町のジムにしては充実していると思います。肉体的な面でも精神的な面でもケアは整っていますし、興味深いのはドライブ・シミュレータでしょうか? 室温の調整が可能で、真夏のレースへの準備もできます。ただ、僕は暑いのが苦手なのでまだ試していません(汗)」



 万璃音の住むアパートからジムまではクルマで15~20分はかかるものの、普段はフィジオのジョゼが送り迎えまでしてくれるという。彼と一緒に昼食や夕食を摂ったり、あるいは彼と一緒に買い物を済ませたりといった付き合いもあるという。レーシング・ドライバーは多くの人々に支えられて戦っている。もちろん、万璃音も多くの人々に支えられてイタリアで戦い続けている。そうした人々の期待に応える結果が望まれている。