2016年F1第12戦ドイツGP 決勝トップ10に入ったドライバーたちがレースを振り返った。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
ルイス・ハミルトン 決勝=1位
最高の一日だ! 素晴らしいとしか言いようがないよ! 今日これほど強さを発揮できるとは思っていなかった。
すごくいいスタートを決めた。スタートの蹴り出しが速く、安定するよう、一生懸命努力してきた。そのハードワークが報われた。ガレージの皆に心から感謝する。彼らが久しぶりに休みを取れるのはいいことだよ。それだけの仕事をしてきたんだから、その権利がある。
昨日はああいう結果だっただけに、今日は最高にハッピーだ。何か失敗して、23年の経験から本来ならもっといい仕事ができたはずだと分かっているときには、自分を責める。でも今日はそれとは正反対の気分だ。目指していたようなレースをして結果を出した。自分には速さがあると分かっていた。タイヤをうまく使い、後ろからのプレッシャーは全くなかった。今日はミスもなかったからすごく満足している。
絶好調で休みを迎えることができてすごくうれしい。一時は43ポイントも遅れていたのに、努力し続けて形勢を逆転することができたんだからすごいことだよ。
最後にファンの皆にお礼を言いたい。大勢がドイツに来てくれた。熱心に応援してくれるから、そのポジティブなエネルギーが僕を後押ししてくれる。だから改めて感謝の気持ちを表したい。彼らがいいホリデーを送れますように。僕は間違いなくそうするよ!
■レッドブル・レーシング
ダニエル・リカルド 決勝=2位
もちろん今日の結果をすごく喜んでいる。メルセデスを1台倒したこと、僕ら2台でポールシッターのメルセデスを倒したことは、すごいと思う。
レース序盤、僕は3位を走っていて、ペースはまずまずだった。でも本当に速さが出てきたのは、レース後半だ。あそこでさらに速いペースで走れたことによって2位をつかんだ。
2位は今日僕らに可能な最大限の結果だから、ハッピーな気持ちで夏休みを迎えられる。また表彰台に上れたんだからね。
僕の戦略はとてもうまくいき、スーパーソフトで快適に走れた。スーパーソフトがうまく機能したことで、終盤ペースを上げられた。
表彰台の上で靴の中にシャンパンを入れて飲んだけど、あれはオーストラリアで(お祝いなど特別な時に)する、“シューイ”というものなんだ。今年勝ったらそれをやるって言っていたんだけど、実は、次に表彰台に上ったらやろうと決めていた。
ここ数戦は週末の間に以前よりもいい結果を引き出してきた。サマーブレーク前に勢いに乗って来たのはいいことだ。それにしても、表彰台の上に立っているだけで、世界一いい気分になるものだね。
■レッドブル・レーシング
マックス・フェルスタッペン 決勝=3位
スタートはすごくうまくいったし、レースを通してペースがよかった。今週末はここまでいいとは思っていなかった。最大限の結果を出せたと思う。
戦略はいつもうまくいくとは限らない。今日はチームのために、ひとつの選択肢を取り、結果としてフェラーリの前で2位と3位を獲得した。フェラーリに勝つというのが今日の最大の目標だった。
(ニコ・)ロズベルグはブレーキングをものすごく遅らせて、コーナーの入口で曲がっていなかった。あの一件で僕はかなり時間をロスした。彼にコース外に押し出され、おかげでまずい状況に陥った。
その後、チームの戦略としてダニエル(・リカルド)を前に出した。一番大事なのはポイントを稼いでコンストラクターズ選手権の順位を上げることだった。
メルセデスからたった10秒遅れでフィニッシュできたというのは素晴らしいことだ。でも、シーズンが終わるまでにどこまで近づけるかは、まだ予想できない。彼らにはまだ余裕があるかもしれないからね。
これから少し休みが取れるのはうれしいね。家族と過ごして、その後のスパに備える。オランダのファンに会えるのが楽しみだよ!
(ロズベルグとのバトルについて語り)彼はものすごく後ろにいたのに、ものすごくブレーキングを遅らせた。僕に突っ込んでくるかもしれないと思って、道を開けたんだ。
彼は全然曲がっていなくて、ひたすらまっすぐ行っていた。僕がコースの外に出るしかなかった。そうじゃなきゃ、クラッシュしていただろう。あれはいいドライビングじゃないよ。(オーストリアでロズベルグとの接触事故に遭った)ルイス(・ハミルトン)なら分かるだろうけど……。結局、彼(ロズベルグ)は5秒ペナルティを受けた。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
ニコ・ロズベルグ 決勝=4位
苦労した末に、期待外れの一日になった。スタートでかなりホイールスピンしてしまった。フォーメイションラップのスタートはよかったから、変だった。そのせいでリードを失い、さらにふたつポジションを落とす結果になった。その時点で難しいレースになることは分かっていた。
マックス(・フェルスタッペン)とのタフなバトルの末に2位に上がれて喜んでいたから、ペナルティを受けてすごく驚いた。
ピットで大量に時間を失ったし、今日はたくさんのことが悪い方向に行ってしまった。それは最終的には大したことではなかったが、ペナルティによってレッドブル勢を倒すことが不可能になった。
全体的に、今までよりもマシンの感触がよくなかった。特に今日はリヤタイヤに問題を少し抱えていた。何がよくなかったのか、エンジニアたちと一緒に分析する必要がある。
今はサマーブレークを楽しみにしている。休み明けにはより強くなって戻って来たい。チームの全員が久しぶりの休みで充電できるよう願っている。
(ペナルティについて語り)びっくりした。あれでペナルティを受けるなんて思っていなかったからね。あれはレースだ。あの時、有頂天になっていた。「すごいぞ、かなり後ろから追い抜いた」と思ってね。
ポジションを上げたことを喜んでいた。それで少なくとも2位は確保できると思ったからだ。そうすればダメージリミテーションになる。
(オーストリア最終ラップでのルイス・ハミルトンに対するアクションと似ているという指摘に対し)位置関係が違う。今回は明らかに僕は前に出ていた。
(Formula1.comのインタビューに答えて)ペナルティがなければレッドブル勢の前にいた。ペナルティが出たせいで彼らにチャレンジできなかったんだ。(4位になったのは)ペナルティのせいだ。
■スクーデリア・フェラーリ
セバスチャン・ベッテル 決勝=5位
僕らはいつも、予選よりレースのほうが速いんだけど、今日はそうならなかった。あらゆるところでクルマが滑りまくっていて、それがタイヤにも悪影響を及ぼしたんだ。今日の僕らには、5位と6位以上の成績は望めなかったが、もちろんそんな状況を受け入れることはできない。
今後、クルマの改善に取り組むつもりだし、その方法もわかっている。当初からの計画どおり、休み明けのレースでは新しい開発部品が投入されるはずだ。シーズン前半戦は、望んだような展開にはならなかった。まだやるべきことはたくさんあり、僕自身も成績の浮き沈みが激しくて、獲れたはずのポイントを何度も失った。でも、僕らは戦い続けるよ。
今日のレースに関して言えば、最後にソフトを履くというのは、それほど難しい判断ではなかった。新品のセットが残っていたからね。僕がしばらくステイアウトしたいと言ったのは、最後のセットでのスティントをあまり長くしたくなかったからだ。でも、振り返って考えてみると、ちょっと保守的すぎる選択だったかもしれない。早めにピットに入れば、前方のクルマに多少はプレッシャーをかけるチャンスもあったはずだ。
スタンドのあちこちでドイツ国旗とフェラーリの旗が振られているのが見えて、サーキットの雰囲気は最高だった。その点では、僕にとって今までで最高のグランプリだったよ!
(チームから最後のピットストップを促された際に、早すぎると反論したことについて語り)後から考えると、僕はミスをしたと思う。(早く入っていたら)前のグループにプレッシャーをかけることができたかもしれないからね。でも、戦略やタイヤについてレース中に話し合うのは普通のことだ。(この時の無線が)どれだけ放送されたか知らないけど、この問題についてはかなり長く話し合った。
昨日と同じように、マシンバランスが悪くスライドが多かったせいで、タイヤの持ちが悪かった。ひと言で言うと、僕らには今日、十分な速さがなかった。
■スクーデリア・フェラーリ
キミ・ライコネン 決勝=6位
これといった出来事もなく、ひどく淡々とした退屈なレースだった。スタートでは少しホイールスピンをさせすぎて、セバスチャン(・ベッテル)に抜かれてしまった。タイヤが新しいうちはクルマのフィーリングも悪くなかったが、すぐにアンダーステアやオーバーステアが出始めた。つまり、全体としてグリップが足りなかったということだ。
最後のスティントでは燃料もセーブしなければならず、ただ走っているだけの状態になった。あらゆる領域でクルマを改善する必要があるのは明らかで、特にダウンフォースが強化されれば、ずいぶん楽になるだろう。
チーム全員がもっと良いレースをしたいと望んでいるし、本来居るべき位置にいられないのは精神的につらいものだが、僕はチームを信頼している。望ましい位置に到達するには、多少の時間とハードワークが必要だ。僕らにとって重要なのは、チームとして仕事をして、進歩していくことだ。
■サハラ・フォース・インディアF1チーム
ニコ・ヒュルケンベルグ 決勝=7位
今日の僕らには、おそらく7位より上は望めなかったと思う。だから、こうして7位でレースをフィニッシュし、貴重なポイントを稼げたことに満足している。
戦略面でチームがすばらしい仕事をしてくれた。僕らは2ストップで行けると考えてレースをスタートしたが、早い時期に3ストップに切り替える判断をしてくれたんだ。その判断が正解だったことは確かだ。実際にレース終盤に7位の座を奪い取ることができたのだから。
タイヤのデグラデーションがものすごく大きかったので、レースの大半でタイヤをいたわりながら走っていたし、単独走行ばかりの単純なレースだった。直接順位を争った相手はボッタスだけで、それも彼とは戦略が違っていたからね。
結果として僕はハッピーで、チームもハッピーだ。これで気分良く夏休みを楽しめるだろう。シーズンの後半戦に向けて、この勢いを維持したいと思っている。
■マクラーレン・ホンダ・フォーミュラ1チーム
ジェンソン・バトン 決勝=8位
すごくいいスタートを決めた。ポジションアップのほとんどはスタートで稼いだ。その後は、ひたすらタイヤを労わって走った。予想以上にデグラデーションが起こるのが早かったんだ。燃料セーブもかなり行う必要があった。特に最後の10周は辛かったね。実際、終盤には、かなり燃料をセーブしていたため、ブレーキを踏んでも石のようで、コースからはみ出してしまった。ハードブレーキングすらしていなかった。
レース終盤、バルテリ(・ボッタス)からポジションを奪うことができた。彼はタイヤに苦しんでいたんだ。ウイリアムズ2台に勝ったことには満足感を覚えるけれど、今日は8位が精いっぱいの結果だったと思う。前のクルマからは20秒も離れていたから、彼らに追いつくためにはまだまだやるべきことは多そうだ。
それでも僕らは大きく進歩し、常にポイントを争えるようになった。チームは今年素晴らしい仕事をしている。毎戦何かしら新しいパーツを持ち込んでいるんだ。チームの全員に対して、ありがとう、よくやったね、と声をかけたい。
サマーブレークの後に戻ってきて、また戦うのが楽しみだけど、とりあえず今は、ホリデーにわくわくしている。
■ウイリアムズ・マルティーニ・レーシング
バルテリ・ボッタス 決勝=9位
途中まで順調だったのに、フォース・インディアにアンダーカットされて彼らの後ろになってしまった。彼らは3回ストップで、僕らは2回ストップで走ろうとしていた。タイヤの計算で何か間違ったに違いないよ。あのタイヤセットで最後まで行くなんて、絶対に無理だった。スティントがあまりにも長く、それによってポイントをいくつか失った。
■サハラ・フォース・インディアF1チーム
セルジオ・ペレス 決勝=10位
今日のスタートは、僕のレースキャリア全体を通じて最悪だったと言ってもいい。スタートの瞬間に派手にホイールスピンをさせて、一気に16位まで沈んでしまったんだ。
それからはフィールドをかき分けながら順位を取り戻していく長い戦いだった。チームは僕を浮上させるために、すぐに戦略をスイッチしなければならなかったんだ。デグラデーションはかなり激しかった。特に誰かの背後につくとその傾向が顕著になり、レースではフェルナンド(・アロンソ)とのポジション争いに多くの時間を費やしたからね。
終盤にはタイヤが終わりそうになっていたけど、フェルナンドも似たような状況だとわかっていたので、チャンスが訪れた時に思い切ってアタックした。正直なところ、スタートして1コーナーを通過した時点では、ポイントを獲れるとは思えなかったけど、終わってみればこの順位だった。
チームとして、シーズン前半戦で成し遂げてきたすばらしい仕事を誇りに思いながら、休暇を迎えることができそうだ。僕らが活躍する機会は、後半の9レースでまだ何度も訪れると信じている。だけど、いまは少し休みを取ることが重要だ。