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真剣佑は育ちが良い不良? 『ROOKIES』と『仰げば尊し』、描く“不良像”の違い

2016年08月01日 14:11  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンド映画部

 現在放送中のドラマ『仰げば尊し』(TBS系)は、『ROOKIES』の監督・脚本コンビが手がける、実話を基に描いた青春ドラマ。弱小高校吹奏楽部を舞台に、寺尾聰演じる元プロのサックス奏者・樋熊迎一と生徒たちが、音楽の甲子園と呼ばれる“全国吹奏楽部コンクール”を目指す模様を描く。


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 先週放送された第2話までは、村上虹郎、真剣佑ら演じる不良グループの暴れまわる様子が描かれていた。吹奏楽部への勧誘を諦めない樋熊に対し、猛反発するも徐々にその熱意に心をひらいていく彼ら。そんな彼ら“不良”の姿を軸に物語が展開されていく。『ごくせん』や『ROOKIES』のように、不良と教師の関係性が描かれているのだが、『仰げば尊し』は先述した2作品とは少し印象が異なる。なぜなら、本ドラマで描かれている不良たちは“どことなく品が良い”印象を与えるからだ。


 例えば、制服の着こなし方だ。リーダー格の2人、村上演じる青島裕人と真剣演じる木藤良蓮は、普通の学ランに白のYシャツを着ている。学ズン(制服のボトムス)もスラックスでストレートと一般的だ。もちろん、Yシャツはタックインせず、学ランのボタンも全開け、チェーンなどの装飾品など不良らしい部分もあるが、アクセサリーなども派手なものではなく至ってシンプルなのだ。


 不良グループ5人のうち3人は黒髪で、派手な髪色は金髪1人のみ。髪型も太賀演じる高杢金也のパンチパーマ以外は、特別派手で目を引くというわけでもない。校内や教室も荒れている様子はあまり見当たらず、普通の学校とそこまで大差ないように思える。


 さらに、何と言っても木藤からは育ちの良さが感じられる。一人称が“僕”だったり、ジャズに詳しかったり、サックス奏者だったりと今までの不良ドラマでは見たことがないタイプのキャラクターだ。仲間想いで、物事を客観的に捉えることができ、精神年齢も高い。また、不良グループは樋熊のことを基本的に“おじいさん”と呼ぶように、従来の不良ものより言葉遣いも丁寧だ。


 本ドラマの題材が“吹奏楽”ということもあってか、全体的に不良感が控えめでマイルドになっている印象を受ける。殴り合いなどの喧嘩シーンも少なく、他の生徒や先生らに危害を加えるようなこともあまりない。そのため、SNSでは「綺麗なROOKIES」や「現代版ごくせん」などと言う声が目立つ。


 『ごくせん』や『ROOKIES』で登場する生徒たちは、キレやすく喧嘩三昧の日々を送るなど、とにかく男臭くて凶暴なイメージが強い。そのために暴力的な問題事が次から次へと巻き起こる。ある意味、高校生らしく自分に素直に生きているのだ。だが、『仰げば尊し』にでてくる不良たちは、どこか達観していて冷静な印象を受ける。趣味も麻雀と渋い。だから、不良にしては少々おとなしく感じるのかもしれない。


 本ドラマの青島と木藤は、『ROOKIES』でいうところの市川隼人が演じた安仁屋恵壹や城田優が演じた新庄慶のポジション。その2人と比べてみても違いは一目瞭然だ。ギラギラしていて血の気が多い『ROOKIES』の面々と比べるとやはり、本ドラマに登場する生徒たちは上品なのだ。


 今日放送される第3話では、いよいよ不良グループのうち高杢ら3人が吹奏楽部として活動し始める。これから彼らは吹奏楽を通してどう変化していき、顧問である樋熊とどのような関係を築いていくのだろうか。


(文=戸塚安友奈)