トップへ

インディ第13戦ミド・オハイオ:ペジナウが王者を引き寄す復活の勝利。琢磨は悲運

2016年08月01日 12:31  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

インディカー第13戦ミド・オハイオ/今季4勝目を挙げたサイモン・ペジナウ
インディカー・シリーズ第13戦がミド・オハイオ・スポーツカーコースで開催され、ポールポジションからスタートしたサイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)が第5戦以来となる今シーズン4勝目を挙げた。終盤、4番手と好位置につけていた佐藤琢磨(AJフォイト)は、セバスチャン・ブルデーに追突されコースオフ。9位にポジションを落とす悔しい結果となった。 

 2014年チャンピオンのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がこの4戦で3勝。一気に流れに乗ったかに見えていた2016年のインディカー・シリーズ終盤戦。しかし、シーズン序盤からポイントリーダーであり続けているサイモン・ペジナウが、ミド・オハイオでは最近の戦いぶりとは一転し、アグレッシブに走ってシーズン4勝目を手に入れた。しかも、パワーを終盤のリスタート後に豪快にオーバーテイクして掴んだ勝利で、ペジナウは「今シーズンのベストレース!」と目を輝かせていた。

 今週末になって突然襲われた背中の痛みによって、予選出場も危ぶまれていたというペジナウだったが、インディカーのドクターによる治療によって予選を走ることができ、ポールポジションをゲット。レースではポールから予選2位のパワーを突き放し、戦いのイニシアチブを握っていた。 

 ところが、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)とエリオ・カストロメベス(チーム・ペンスキー)の接触で15周目にフルコースコーションとなり、これより前にピットストップを行っていた面々の後方、9番手までペジナウのポジションは下がった。更に、2回目のピットストップでは、そのスティントを彼より2周長く走ったパワーが彼の前へとピットアウトしてきた。

 今回のペジナウは2位に甘んじる気はなかった。ジャック・ホークスワース(AJフォイト)のコースアウトで出された今日2回目のフルコースコーションの後、61周目に切られたリスタートでパワーにアタック! 

 バックストレッチエンドの右コーナーからコースの半周に渡って攻めの走りを続け、高速コーナーでもひるむことなくサイド・バイ・サイドでバトル。その気迫に圧倒されたのかパワーがターン9でラインを少し外れると、その隙を逃さずインを突き、最終コーナーでパワーの前へと出てみせた。


 ペジナウの前には絶妙のピットタイミングを活かしてトップに立ったコナー・デイリー(デイル・コイン・レーシング)がいたが、彼は期待した3回目のフルコースコーションが出なかったことからゴール前5周でピットで給油。トップの座はペジナウの元へと戻り、そのままパワーに4秒もの差をもってゴールへと飛び込んだ。

「今日の戦い方は僕らが考えていた通りのものだった。そして、目指していた通りの結果も手に入れた。残る4レースも思い切り攻め続ける。アグレッシブに戦う時が来た」とペジナウは話した。

 3位はカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)。ホンダ勢トップとなった彼はインディ500以来となる今季2度目のトップ3フィニッシュ。

「今年はピットタイミングにおける不運が多過ぎた。今日やっとベストのタイミングでピットできた。チームにとっても表彰台は久しぶりだ。今週の走り始めはマシンが酷い状態だっただけに、表彰台フィニッシュは嬉しい」とムニョスは喜んでいた。

 佐藤琢磨(AJ・フォイト・レーシング)もまた、デイリーらと同じく序盤の早目のピットストップで上位へと進出。最後のピットストップの後に4位を走っていたが、5位のセバスチャン・ブルデイ(KVSHレーシング)がブレーキングをミスして追突。琢磨ともどもコースアウト。グラベルにスタックせずに済んだ琢磨はコースに復帰したが、順位を落とし9位でフィニッシュ。2戦連続のトップ5フィニッシュを惜しいところで逃した。

「予選が20位だったのだから、9位も悪い結果じゃないんですが、4位は間違いないところだっただけに悔しい。あの追突はない……」と佐藤は残念がり、「自分たちのラップタイムはまともに戦って4位に入れるレベルにはなかった。しかし、安定したペースで走り、ポジションを守る戦いはできていた」と自らのレースを評していた。