7月31日に行われたF1第12戦ドイツGP決勝、メルセデスのルイス・ハミルトンが2番グリッドからスタートを制して、オーストリアGPから4連勝を飾った。2位はダニエル・リカルド、3位マックス・フェルスタッペンとレッドブル勢が、そろって表彰台に上がっている。
初日フリー走行から予選までチームメイトに先行していたニコ・ロズベルグは、スタートで大失敗。レッドブルの先行を許し、フェルスタッペンとのバトルで、相手をコース外へ押し出したとして5秒ペナルティを受けた。ロズベルグは夏休みに入る前の最後のレースを落とし、王座争いでハミルトンに19ポイント差をつけられる結果となった。
スターティンググリッドは、中団グループに変更があった。ギヤボックス交換のためハースのロマン・グロージャンが5番手降格で20番グリッドへ。Q2でウイリアムズのフェリペ・マッサの進路を妨害したとして、トロロッソのカルロス・サインツJr.に3番手降格ペナルティが科せられ15番グリッドへ。また、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグは、フリー走行後に返却したはずのタイヤでQ1を走行したとして、1番手降格のペナルティを受けて8番グリッドからのスタートとなった。
スタート前の気温は24度、路面温度41度。天候は晴れ。ポールポジションのロズベルグが大きく出遅れ、ハミルトンが難なく1コーナーでトップに立つ。フェルスタッペンがリカルドの前に出て、1周目はハミルトン、フェルスタッペン、リカルド、ロズベルグ、セバスチャン・ベッテルのトップ5となる。
いきなり苦しい展開となったロズベルグはリカルドに仕掛けたが、リカルドもポジションを死守。その間にハミルトンがファステストラップを連発してフェルスタッペンとの差を2秒、3秒と広げていく。10周終了時点で首位と2位の差は約5秒。後方では10番手スタートのマッサと14番手スタートのルノーのジョリオン・パーマーに接触があり、マッサは順位を下げてしまう。
11周目に、2番手フェルスタッペンと4番手ロズベルグが上位勢で最初のピットイン。それぞれスーパーソフトタイヤでコースに復帰すると、翌周にはリカルドもピットインして、スーパーソフトからソフトタイヤへ交換し、5番手で復帰する。ハミルトンは14周目にピットへ向かい、ソフトに交換してトップのままコースに戻る。フェラーリ勢は、キミ・ライコネンがピットアウト時にスムーズな発進ができずにタイムロスするなど、ベッテルとともにレッドブルを追いかける我慢の展開が続く。
マクラーレン・ホンダはジェンソン・バトン、フェルナンド・アロンソと早々にポイント圏内まで上がってきた。唯一ソフトタイヤでスタートしたハースのエステバン・グティエレスをコース上でオーバーテイクしてポジションアップに成功。そのグティエレスは25周に、ようやく1回目のピットイン。スタート時の接触の影響か、パーマーはピットイン時にフロントノーズを交換。マッサも左リヤタイヤの交換に時間がかかり、さらにタイムをロスしてしまう。
トップ集団に異変があったのは29周目。27周目にロズベルグ、28周目にフェルスタッペンが2回目のストップを行い、それぞれソフトタイヤへ交換。フェルスタッペンはロズベルグの前でコースに復帰したが、ロズベルグはターン6のヘアピンでインから仕掛ける。ここでフェルスタッペンをアウトに押し出したため審議対象となり、ロズベルグに5秒加算のペナルティが下ってしまった。無線では裁定に納得いかない様子のロズベルグだったが、判定が覆ることはなく、44周目のピットイン時にペナルティを消化している。
ハミルトンは安定したペースで周回を重ね、34周目に2回目のピットストップを行い、スーパーソフトへ交換。ファステストを出しながら快調に飛ばしていく。36周目にはマッサがピットに入り、そのままガレージへマシンを戻してリタイア。チームメイトのバルテリ・ボッタスは入賞圏内での走行を続ける。40周目、リカルドがコース上でアンダーステアに苦しむ僚友フェルスタッペンをパスして、3番手に浮上した。2番手のロズベルグは次のピットで5秒ペナルティを消化するため、これでリカルドがハミルトンを追いかける立場となった。
そして46周目にリカルド、47周目にハミルトンが最後のピットストップを行う。それぞれスーパーソフト、ソフトでコースに復帰すると、リカルドはハイペースで差を縮めていく。両者の差は一時、約6.5秒まで縮まったが、ハミルトンもペースをコントロールしてリカルドに接近を許さない。3番手フェルスタッペン、4番手ロズベルグも前との差を縮めることができず、進んでいく。
終盤、ザウバーのフェリペ・ナッセがピットレーンでマシンを止めて57周でリタイア。上位グループでは、61周目にヒュルケンベルグが2ストップ作戦でタイヤに苦しむボッタスをかわして7番手へ。その後、3ストップだが、やはりタイヤと燃費に悩んでいたアロンソがセルジオ・ペレスにかわされ、ポイント圏外へ後退してしまう。しかし、バトンがボッタスを抜いて8位に浮上。ダブル入賞とはならなかったが、マクラーレンは4ポイントを獲得した。
ハミルトンは最後まで集中力を切らさず、完勝。7月の4戦すべて連勝で飾り、シーズン後半へ向けてはずみをつけた。フェラーリ2台はレッドブルの後塵を拝し、コンストラクターズ選手権ではレッドブルがフェラーリを逆転して2位に浮上している。