僕がツイッターでつながっている人の中に、ブラック企業で死にそうになりながらも、日々の業務の合間に、上司の目を盗んでトイレ(大きい方ね)の回数をカウントしている人物がいる。
その日の仕事の進捗や、上司についての話題をその度に投稿していて、傍目にも「ブラック企業、恐ろしいな」とか思っていたんだけど、まだまだ地獄は広かった。
世の中には、さらに輪をかけて「人」を破壊しかねない、恐るべきブラック企業が溢れているようだ。(文:松本ミゾレ)
「トイレは許可制」って一体なにさまのつもりなんだ……
先日、2ちゃんねるを閲覧していると、「【驚愕】ガチのブラック企業で働いたことがあるやつだけわかることw」なるスレッドを発見した。これがまたインパクトのある話が満載だったので、ちょっとご紹介したい。
まず目に飛び込んできたのが「飲み物が飲ませてもらえない」である。飲み物は、文字通り人が飲むための物。それを飲ませてもらえないなんて、早速人扱いされていないじゃないか。昭和の体育会系のノリを思い出してしまった。
次に、地味にイヤなのが「備品は自腹」。インパクトは小さいけど、電球が切れても、何かがなくなっても、会社は負担してくれないから自分で買うしかないというのは嫌なものだ。しかもブラック企業だから、給与だって微々たるものだろうし、そこから会社の備品まで自腹で購入するなんて……。
「トイレは許可制」というもの、当然ある。なんだろう、ブラック企業にはトイレ関連の非常識なエピソードは必須なのだろうか。
他には「罰金制」という書き込みも。失敗をしたら給与から天引きするという、例のアレだ。最近も、アリさんマークの引越社の罰金制が話題になったばかり。働いているのにお金を取られるなんて全くもって謎だ。
いたたまれないのが「朝礼報告で泣き出す」という声。「どんな職場だよ!」と突っ込みたくなったが、いい年齢をした社会人が、朝っぱらから落涙するほどに、非常識な現場。それがブラック企業なのだ。ほかにも、「16時間働いて休憩取れない」「31日連続出勤」なんて書き込みもある。辞めりゃいいのに。
それでも誰一人としてブラック企業を辞めない謎
大体ブラック企業なんて存在しているのが間違いだ。そして、もっとおかしいのは、なんでブラック企業の社員たちは、こうやってネットに苦しい状況を書き込む力は残っているのに、退職しようという行動は起こせないのだろうか。
僕もこういうところでコラムを書いているからか、たまに仕事についての相談を、いろんな人から受けることがある。中でもブラック企業関連の相談は多い。僕は徹頭徹尾、「そんな会社辞めればいいです」としか言わないのに、何故か誰一人辞めない。
「ブラック企業に僕はこんな酷い扱いを受けているんです。かわいそうでしょ?」ぐらいの不幸自慢をするだけして、実際に退職しないというのは、理解に苦しい。他人である僕にすら意思表示をできる人が、大嫌いな会社を辞めるなんて、造作もないことだと思うんだけどなぁ。
ブラック企業の社員さんたちに言いたい。誰もあなたを「かわいそうだから救いたい」とは思っていない。自分の苦境を打破できるのは、他人の同情ではない。自分自身の手で辞表を書いて、上司に叩きつけるという意志だけだ。
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