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KinKi Kids、NEWS……メンバーの関係性を語るグループなぜ増えた?

2016年07月31日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 近年、ジャニーズアイドルが週刊誌などのメディアに登場し、メンバーの関係性を包み隠さずに語る場面が増えている。


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 メンバーの相次ぐ脱退や活動自粛の危機を乗り越えたNEWSが、現在の4人体制に関して率直な感想を語ったり(『週刊朝日』2016年7月29日号より)、常に不仲説がささやかれてきたKinKi Kidsの堂本剛が「弁解するのもめんどくさい」(『女性セブン』2016年8月4日号より)と明言したり…。このようにリアルな心情を発信するようになったのは、アイドルが一昔前の「理想の王子様」ではなく、ひとりの人としての魅力が試される時代になったからではないだろうか。


 ジャニーズタレントとファンにとって、最も身近な雑誌メディアといえば「アイドル誌」と呼ばれる雑誌だ。まだデビューしていないJr.時代から、グラビアを飾ることで、少しずつ知名度を上げていく、いわばジャニーズアイドルの登竜門的なメディア。


 基本的なプロフィールはもちろんのこと、近況やプライベートの思い出、他のJr.メンバーとの関わりなどを発信していく中で、人となりがジャニーズファンの中で浸透していく。ジャニーズのメンバーにとっては、多くの人に知ってもらう場でもあり、「こんなアイドルになっていきたい」というセルフプロデュースの場でもある。


 つまり、アイドル誌では彼らの魅力をいかに伝えるかをコンセプトに作られている。「もしジャニーズアイドルが同じ教室にいたら」「デートをしたら」「一つ屋根の下にいたら」…と、彼らに恋する瞬間を演出する企画が多い。誰もが好きになってほしい相手には、カッコいいところを見せたいと願うように、読者に向けてカッコ悪い姿は極力見せない作りになっているのだ。


 だが、週刊誌はその逆だ。いかに目を引くリアルな情報を発信していくのかがミッション。だからこそ今、ジャニーズアイドルが積極的に週刊誌へ登場していることに、求められているアイドル像の変化を感じるのだ。


 かつての日本のメディアでは、アイドル=若くて旬なタレントという概念だったように思う。青春時代に憧れ、恋する相手だった。だが、今は30代、40代と年齢を重ねて、第一線で活躍しているグループが多い。


 SMAPやTOKIOをはじめ、連日メディアに露出しているジャニーズアイドルたちは、すでにベテランと言われる年齢に達している。これは、ジャニーズ史上かつてない事態ではないだろうか。


 理想の初恋相手だった彼らは、いつの間にか理想の上司、理想の結婚相手、理想の父親…などと、ポジションを変えて、それぞれの年代で憧れられる像を築き上げてきている。何十年単位で日本の「カッコいい」を作り続けている彼らの努力には、敬服のほかない。


 その長い年月の中で、「理想の王子様」は「現実の男」として仕事に向き合っている。ときに、苦悩や挫折を味わい、それを乗り越えて最前線を走り続けてきたのだ。そのプロセスをポジティブに振り返り、同じように現実の壁にぶつかりながら生きている人々に勇気を与えるということも、人としての器。世代を越えて、多くのファンに愛されているジャニーズアイドルたちは、そんな人間性そのものが魅力としてとらえられる時代になったのかもしれない。(佐藤結衣)