ドイツGP金曜会見は、やはり水曜のストラテジー・ミーティングで決まったばかりの「ハロ導入2018年へ延期」と「無線の解禁」についての話題を中心に、44分間にも及ぶ盛り上がりとなりました。
そもそもチームの代表者で話し合って決まったことだけに、出席者から否定的な意見は出ず、優等生的なコメントに終始しました。
コクピット保護システムのハロについては、誰もが「完璧なものを用意するためには時間が必要」「あと1年あれば、さらに優れたものができる」と異口同音に語りました。無線解禁についても歓迎の声ばかり。
イギリスGPでペナルティを科されたメルセデスのパディ・ロウは「いままでのルールは複雑過ぎた。ピットウォールでも膨大なリストと見比べて伝えて良いのかいけないのかの判断をするのが大変だった」と振り返り「状況を打開する方法としては無線はまったくなしにするか、すべて解禁するかのいずれかだった。もちろんファンにとっては後者のほうが良かった」と、この結論に至った理由を説明。
ハンガリーGPでペナルティを受けたマクラーレン・ホンダのマット・モリスは「我々は安全にクルマを走らせたいだけだったんだ。この決定は正しいし、常識が守られたと思う」と同調。レッドブルのポール・モナハンは「ショーとしてプラスになるし、ミュートボタン(放送に公開したくない会話をする際に押すボタン)が廃止されたのも良いことだと思う」と、自分たちには隠し立てするようなことはないと、さりげなくアピール。
また、おなじみ政治担当のディーター・レンケン記者から2020年以降のパワーユニットについて質問が飛ぶと、各者各様の未来図が。
「いまのパワーユニットは音は良くないが間違いなく以前よりも優れている。未来のクルマは電動で無音になるかもしれないし、F1にも音が必要なのか、音がパフォーマンスを表わすようなものになるのかも疑問だと思う」(パディ・ロウ)
「こうした議論は、いま始めるべきだ。すでにマニュファクチャラーたちは将来がどうなるかを想像しているし、新しい規定が新たなメーカーを惹きつけるかもしれない。早く議論すればするほど良いと思う」(マット・モリス)
「2014年の規則変更の際にはパワーユニットの差がマシンの競争力を非常に大きく左右することになってしまった。もう、そんなのは見たくない。もっと速くて、さらに接戦のレースになるようにしてもらいたい」(ジョック・クリア)
ワークス系チームが意見を述べたのに対して、独立系チームは、やや違いました。フォース・インディアのオットマー・サウナウアーの希望は、いたってシンプル。
「安いエンジン!」
マノーのパット・フライも「NAエンジン時代に較べると予算は雪だるま式に増大した。あの頃のように、ある程度コントロールされるべきだ」と賛同し、全チームが一致団結しているようで、やはりワークスチームと独立系チームの違いが見え隠れする会見となったのでした。