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AV出演トラブルの法律相談「勝手に契約更新された」「断ったら損害賠償300万円」

2016年07月30日 12:02  弁護士ドットコム

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アダルトビデオ(AV)出演強要問題が、大きく注目されている。トラブルに巻き込まれた出演者の支援団体によると、相談は増加傾向にあるそうだ。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、数年前からAVに関する相談が計20件以上寄せられている。どのような相談が寄せられているのか、紹介したい。


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●「自動で契約更新」辞められず


あるメーカーの専属女優は2016年3月の投稿で、プロダクションとの契約解除を求めている。「精神的にも肉体的にもきつくてやめたい」。しかし、プロダクションに契約解除を申し出たところ、「あと2本残ってるしメーカーの迷惑だから出来ない」と却下されてしまったそうだ。



プロダクションとメーカーの間では、女性に断りなく契約本数が更新されていたという。女性がプロダクションに尋ねたところ、最初の契約は6本で、3本延長になったことがわかった。契約書は女性の手元にはない。



女性は「契約の更新があるなら、その時に聞いていれば更新しないという選択をしたかったです」と打ち明けている。



●形式上は合意していたが・・・


2016年6月に相談を寄せた女性は、10年近く前にスカウトされて業界入りした。たまたまお金が必要な時期で、言葉巧みに契約書を書かされてしまったという。辞めたいと伝えても、所属プロダクションは「もう契約決まっちゃってるから無理」と応じてくれない。



出演本数はどんどん増えるし、女性には著作権がないため、映像が二次利用、三次利用され、作品が「結構な数」になってしまった。女性が「身バレ」の不安を相談しても、プロダクションは「年に何百本も出るんだからまず顔バレしないよ」と再三説得してきたという。



女性はプロダクションについて、「表面上、乱暴・強要というのはなかったかもしれませんが、相手は騙しのプロです。言動での圧迫などはたくさんありました。形式上は合意の上かもしれませんが、いやだと伝えても断れないように続けさせられ、最後は逃げるように辞めました」と不信感を打ち明けている。



女性は「身バレ」に怯える生活をおくり、PTSDやフラッシュバックがあることもと告白している。6月に大手AVプロダクションの元社長が逮捕された報道を見て、DVDの回収などができないかと思い立ったが、肝心の契約書はプロダクションが管理していて、女性の手元にはないという。



●ゲイ動画に出演した男性からも


大半の相談は女性からだが、男性からのものもあった。ある男性は、プロダクションとゲイ動画の出演契約をしたものの、1本目に出演した段階で、嫌になってしまった。そこで、2本目の撮影をやめたいとプロダクションに申し出たところ、スタッフの準備を進めていることを理由に、300万円の損害賠償を求められたそうだ。



また、1本目の報酬の支払いを求めたら、2本目の撮影が終わらないと報酬を支払わないと言われてしまい、どう対応したらいいのか、困っているそうだ(2016年5月)。



●無修正で動画配信されて憤り


正規ルートのAVではなく、海外サーバーで配信された無修正動画に出演したと思われる投稿もあった。相談を寄せた女性は、自分の出演作品が無修正で配信されていることを後で知ったそうだ。



「無修正はするつもりはないとハッキリ言っていたし、なんの説明もありませんでした。しかし、担当者は『きちんと説明した。現場でも説明は必ずしている。契約書にも書いてある。私たちは悪の仕事はしていない』と言い切っています」(2016年1月)



この女性は、現場で英語の契約書を出されたことがあるという。「内容は変わらないからと言われサインしたのを覚えてます。担当者にあの英文の契約書かと聞くと話を逸らされます」



女性は動画は配信停止を望んでいる。「捨て駒同然の扱いを受けたんだとしみじみ実感します。金額も無修正となると全く見合わず、尚更自分が許可したとは到底思えません」



●流通したAVは回収できる?


ほとんどの相談者は強要の有無にかかわらず、AVの回収を求めている。その際、違約金が問題になることが多い。



たとえば、2015年8月に相談した女性は、「細々したものを撮る」などとしか言われていなかったのに、自分が主人公のような作品を撮られたという。女性はプロダクションに販売中止を求めたが、「1000~2000万円かかる」と突っぱねられてしまった。違約金の減額や販売差し止めの方法がないかと弁護士に相談している。


女性は「一生取り返しのつかないことをしたと後悔しております」と悔やんでいる。撮影後に後悔する人は少なくない。完成品を見て怖くなったという女性(2016年5月)や、借金返済のために出演したが、知人にバレてしまった女性(2014年10月)などからも回収についての相談があった。


【編集部より】


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(弁護士ドットコムニュース)