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2017年に『ブランパンGTシリーズ・アジア』開幕へ。GTアジアとの関係は!?

2016年07月30日 05:11  AUTOSPORT web

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ヨーロッパで非常に多くのエントリーを集めるブランパンGTシリーズ。この“アジア版”が2017年にスタートする。
7月29日、ブランパンGTシリーズのトタル・スパ24時間が開催されているスパ・フランコルシャンで、シリーズを統括するSROモータースポーツ・グループのステファン・ラテル代表が記者会見に臨んだが、このなかで2017年から『ブランパンGTシリーズ・アジア』を立ち上げると発表した。

 長年GTカーレースに携わり、現在世界中のスポーツカーレースで使用されているGT3カテゴリーの生みの親であるラテルとSRO。そのなかでも最も中核に据えられているのが、ヨーロッパで争われているブランパンGTシリーズだ。

 高給腕時計ブランドのブランパンを冠スポンサーとして、耐久、スプリントという2種類のフォーマットのシリーズが開催され、毎戦非常に多くのエントラントを集める。このシリーズで使用されるBoP(性能調整)は日本のスーパーGTやアメリカのピレリ・ワールドチャレンジでも使用されるなど、GT3カーの中核と言えるシリーズだ。

■「重要なマーケット」での新シリーズ。日本でも2戦を開催
 そんな『ブランパンGT』の名を冠したシリーズが、2017年にスタートすることになった。この日ラテルは、ヨーロッパでのブランパンGTの2017年カレンダーを紹介した後、「ヨーロッパ、アメリカに続く重要なマーケットへのステップ」として、『ブランパンGTシリーズ・アジア』を立ち上げると発表した。

 シリーズは全6戦。4月にマレーシアのセパンでスタートし、5月にタイのチャン・インターナショナルサーキットで第2戦を開催。6月には来日し、鈴鹿サーキットで第3戦、8月には富士スピードウェイで第4戦と、日本では2戦が予定される。また、10月には中国の上海で、そして最終戦はふたたびセパンで、こちらは2時間レースとなる。

 また参加車両は、GT3についてはプロのみのカテゴリーは設けられず、ひとりはプロ、もうひとりはブロンズクラスのアマチュアという『プロ/アマ』、アマチュア同士のコンビによる『アマ/アマ』という2クラスが設けられる。また、その下位カテゴリーとしてアマチュア同士によるGT4カテゴリーも用意される。

 レースは1時間レースが週末に2回行われ、1回は土曜日に開催される。SROはアジアシリーズ開催に向け、テレビ放映やメディアサービス、SROによるBoPの導入、タイミングサービスや賞金の設定、ホスピタリティの設営等を行うという。

■GTアジアは17年もレース開催をアピール。両者は競合!?
 GT3カテゴリーの中核的存在であるシリーズの“アジア版”の開催は、アジアのレースにどんな影響を及ぼすのか。オートスポーツwebが入手したブランパンGTシリーズ・アジアの開催概要によれば、シリーズはこれまでGTアジアを手がけてきた香港のポール・ヤオが携わり、レースダイレクターにもGTアジアのメンバーが名を連ねるほか、レースフォーマットもGTアジアのものに類似している。

 一見すると、GTアジアがブランパンGTシリーズ・アジアに変化するように思われるが、GTアジアは一方で、7月28日に、2017年もシリーズを開催する旨のニュースを発表している。

 GTアジア側では、アマチュア同士のコンビによるカテゴリーの新設(GT4レベルの車両が使用されるが、GT4とは表記していない)を発表。「FIAによって認められた地域を代表するGT選手権」を掲げた。GTアジアとブランパンGTシリーズ・アジアは現在のところ“競合関係”になりそうだ。

 なお、7月の富士スピードウェイでのレースでは、GTアジアのエントラントに対し、ブランパンGTシリーズ・アジアの資料が渡されている。現行のGTアジアに対しては、エントラント内でも不満があるとも言われており、今後アジアのエントラントがどちらを選ぶのかも注目だろう。

 日本に関して言えば、ブランパンGTシリーズ・アジアがプロ/アマのレースであることを考えると、スーパーGT300クラスとは趣旨が異なるため、スーパーGTへの影響はほとんどないだろう。

 むしろ関係がありそうなのは、同じドライバーコンビで挑めるスーパー耐久のST-Xだ。今季もGTアジアに参加するエントラントが参戦しているが、カレンダーによっては、ST-XにブランパンGTシリーズ・アジアのエントラントがスポット参戦する可能性もある。

■GT3レースの世界構想も。正式アナウンスは11月に
 ラテルはまた、今回ブランパンGTシリーズ・アジアを立ち上げることによって、GT3カーによる世界的なピラミッドが作り上げられていると強調した。

 ブランパンGTシリーズ、ブランパンGTシリーズ・アジア、そしてピレリ・ワールドチャレンジまでがアマチュアも参加可能な地域シリーズで、その上にセパン12時間やバサースト12時間、スパ24時間、ラグナセカ8時間で構成されるインターコンチネンタルGTカップがプロによる世界戦として、そして頂点に、昨年マカオで初開催されたFIA GTワールドカップが据えられる。

 正式なシリーズのアナウンスは、11月に為されるという。今後アジアのエントラントの動向を含め、要注目の新シリーズと言えるだろう。