7月26~31日に、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されるスパ24時間レース。ブランパンGTシリーズのハイライトともなるこのレースに、地元の強豪WRTからアウディR8 LMSを駆り、日本でおなじみのベルトラン・バゲットが参戦する。
バゲットはインディカー・シリーズ参戦やF1テストドライブを経て、2012年からスポーツカーレースに参戦。2013年にはWEC世界耐久選手権のLMP2クラスでチャンピオンを獲得した。その後13年オフのセパンテストでスーパーGTを初ドライブし、14年からEpson Nakajima RacingでスーパーGT参戦を開始。15年からはスーパーフォーミュラにも参戦している。
ふだん日本で生活し、すっかり日本のレースに溶けこんでいるバゲットだが、今回急遽地元ベルギーのスパ24時間に参戦することになった。チームは強豪のWRTで、アドリアン・ド・リーナー、ピエール・カッファーとともに4号車アウディR8 LMSを駆る。そんなバゲットに今回の参戦の理由と、日本とヨーロッパのレースについて聞いた。
Q:日本に定住し、スーパーGTとスーパーフォーミュラで活躍していますが、なぜアウディのワークスからスパ24時間に参戦することになったのですか?
ベルトラン・バゲット(以下BB):WRT代表のヴァンソン・ボッセと僕の出身地が同じで、彼のことはずっと昔からよく知っていたんだよ。本当はこのレースはオランダ人ドライバーのピーター・コックスが参戦するはずだったんだけど、アメリカで仕事が入って出られなくってしまった。そこで急遽WRTから「出られないか?」と連絡があって、ベルギーへ飛んだんだ。
Q:アウディR8 LMSをこれまでにドライブしたことは?
BB:じつは木曜日のフリープラクティスでドライブしたのが生まれて初めて(笑)! ドライコンディションで65台中4番手だった。スーパーGTでは、GT300クラスのR8 LMSはいつも見ていたけど、まさか自分がドライブするとは思ってもみなかったね(笑)。いままでさまざまなカテゴリーに参戦してきたから、GT500からGT3への乗り換えもまったく問題なくスイッチできているよ。でもGT500と比べたらセットアップは大きく違うね。しかし、R8 LMSは予想を上回る安定感があって、グリップもあってこのアップダウンの激しいスパを思い切りアタックできる素晴らしいマシンだと思う。ただ、まだスパ名物のウエットコンディションでは走ったことがないので、その時にどういうパフォーマンスを発揮するかだろうね。
Q:日本ではル・マン24時間やニュルブルクリンク24時間ほど、スパ24時間は知名度は高くありませんが、あなたはこのレースをどう感じていますか?
BB:人気のGT3マシン、それも65台が一同にこの過酷で素晴らしいスパ・フランコルシャンを24時間走り続けるレースなんて、攻め甲斐はあるし、さらにすべてのマシンが勝つ素質を備えているなんてクレイジーだよね。数多くのトップドライバーも参戦しているし、僕自身もひさびさのヨーロッパでのレース。それも地元で開催されるレースだから、スタート前からかなり楽しみにしているよ。
Q:ところで、スーパーGT500クラスとDTMのレギュレーション共通化が進められ、交流戦も検討されていますが、それについてはドライバーの立場からどうみていますか?
BB:日本とドイツのビッグレースが近い将来同じ土俵で戦えることになるのは、ドライバーとしてもとても素晴らしいことだと考えてる。世界に誇る日本の自動車メーカーとドイツメーカーがガチンコ勝負する日が来るなんて夢のようだよね。僕もその時には、ぜひともGT500でドイツ勢とバトルを楽しみたいと願っているよ。
Q:今回アウディからスパ24時間に参戦していますが、アウディのDTMマシンには興味はありますか?
BB:スーパーGTに参戦して3年目で、いまは日本にも住まいを移しているから、いまのところはアウディのDTMをドライブしたいとは思わないよ。もちろん、そんな機会が与えられるのなら別だけど、GT500のホンダNSXコンセプト-GT、そして日本のレースで非常に満足しているし、その環境をとても楽しんでいる。充実したレーシングドライバーとしての日常を送っているよ。
Q:最後に、スパ24時間に初参戦するバゲット選手から、日本のファンの皆さんへひと言お願いします!
BB:日本のファンは世界でいちばん最高! 僕の母国での活躍をライブストリーミングや、アウディのSNS等でぜひ応援してね。日本とは時差もあるけど、僕のドライブする4号車アウディR8 LMSに向けて、熱い声援を送ってほしいね!
今季のスパ24時間は、J SPORTSオンデマンドで視聴も可能だ。バゲットの活躍に大いに期待しよう。