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夏休みの中高生が「ポケモン」求めて「夜」の公園徘徊…注意すべきポイント

2016年07月29日 20:02  弁護士ドットコム

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国内で大人気となっている「ポケモンGO」。配信されたのが、ちょうど中高生が夏休みに入るタイミングだったため、昼夜を問わず、若者がレアなポケモンが出没するスポットに押し寄せている。一方で、深夜に少年少女がポケモン目的に徘徊し、補導されるケースも相次ぎ、問題視されている。


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報道によれば、深夜に公園などを徘徊していたことを理由に少年が補導されたケースは、7月22日から27日までに、都内で25件にのぼっているという。



ポケモンを探すために中高生ら深夜に徘徊することは、法的にはどんな問題があるのか、小野智彦弁護士に聞いた。



●午後11時から午前4時までは、補導の対象になる


「東京都が定めた『青少年の健全な育成に関する条例』に関する条例では、青少年とは18歳未満の者で、深夜というのは23時から翌日の朝4時までと定められています。



この点は他の都道府県の条例もほぼ同様だと思います。深夜はいかいについて次のようなことなどが定められています。



・保護者は、正当な理由がある場合を除いて、深夜に青少年を外出させないように努めなければならない。



・深夜に営業している事業者は、青少年に帰宅を促すよう努める。施設に立ち入らせないようにする」



つまり、青少年の保護者や周囲の大人は、青少年が「ポケモンGO」目的に、深夜に外を徘徊しないよう注意しなければならないということだ。この条例を根拠に、補導されることになるのか。



「それは別に定められています。この条例は、本人を補導する法的根拠ではありません。補導は、警察法施行令に基づく『少年警察活動規則』が根拠になっています。



条例の『青少年』は18歳未満ですが、この規則では、少年は『20歳未満』と定義されているので、18歳、19歳も補導の対象になります。



そして、未成年者が夜に外を出歩く『深夜はいかい』が『不良行為』とされています。東京都の場合、午後11時から午前4時までの深夜に外出していれば、警察の補導の対象になります。



『深夜はいかい』で補導されること自体はよくあることです。ただ、これに犯罪行為が絡んでくると、少年法で、罪を犯すおそれのある少年(『虞犯(ぐはん)少年』といいます)に分類される可能性もあります。



虞犯少年は、年齢に応じて、家庭裁判所や、児童相談所に送致・通告される可能性があります」



●大人が連れ回すケースも問題に


京都では、21歳の女性が「ポケモンGO」を一緒にやる目的で、17歳の女子高生を深夜に連れ回し、書類送検されたと報道があった。大人が同行していても、問題となるということだろうか。



「保護者の委託・同意を得ていない人が、18歳未満の青少年を深夜に連れ回すことは、京都の『青少年の健全な育成に関する条例』に違反する行為です。罰則も定められています(18条の2第2項、31条4項7号)。



京都のケースでは、この規定に違反したとして、摘発されたのだと考えられます」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
小野 智彦(おの・ともひこ)弁護士
浜松市出身。1999年4月、弁護士登録。オフィスは銀座一丁目。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏が漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴した事件などの代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。
事務所名:銀座ウィザード法律事務所
事務所URL:http://homepage2.nifty.com/tomo-ono/lawyer