フェルナンド・アロンソがF1ハンガリーGPでトップ3チームに続く7位入賞を果たしたマクラーレン・ホンダ。「ガードレールがないモナコ」と言われるハンガロリンクだが、エンジニアによれば「モナコはリヤのトラクションが重要なのに対して、ハンガロリンクはフロントの回頭性が重要なサーキット」だという。
マクラーレンは、そこに向けて新しいフロントウイングを投入していた。しかも1種類ではなく、2種類。ひとつはイギリスGPで使用したもの(上写真)とほぼ同じで、アッパーフラップ一番上のフラップ内側に切れ込みが追加された(下写真:黄色の矢印)。この切れ込みはスペインGPで採用されてから、しばらく使用されず、内側の切れ込みは上から2枚目のみとなっていた。ただしバルセロナで使用されたものに比べると切れ込みの長さが深くなっており、改良してきたことがわかる。
もう1種類の新バージョンを使用したアロンソのフロントウイングは、わずかではあるが、切れ込みの長さが違う(下写真:赤色の矢印)。さらにメインフラップ下面の翼端板に近い場所にある、くぼみの形状が一新された。これまでは湾曲した面と翼端板側の水平の面は直角に近い形で接していた。しかし、アロンソの新フロントウイングはS字を描くようにスムーズな曲線を描いて水平面と交わっている(下写真:水色の矢印)。
このフロントウイングがアロンソにしか装着されなかったのは「製造がギリギリだったため」(チーム関係者)だというから、今後ダウンフォースが必要なサーキットでは2台とも新バージョンのアロンソ型を採用するものと考えられる。
マクラーレンはイギリスGPでフロアを新しくしていたが、ハンガリーGPでは、さらに新しいフロアを投入。アップデートの投入頻度はメルセデスにも負けないほど精力的に改良を進めている。ダウンフォースが必要なハンガロリンクで、アロンソが週末を通じて7位につけることができたのは、こうした車体側の努力が結実した結果だったと言えるだろう。