フェラーリはF1ハンガリーGPの金曜日に、ハイダウンフォース仕様とシルバーストン仕様の両方の空力パーツを使いながらクルマを走らせた。また、正式な車検が始まる前にフロントウイングのたわみ量のテストを行っており、フリー走行ではリヤウイングにフロービズを塗布していた。ふたつの事実が示唆するのは、マシンにこれまでと違うパーツが投入され、それらのチェックが必要だったということだ。
一方、リヤエンドではターボハウジングとギヤボックスに改良が加えられた。フェラーリはシルバーストンのテストでターボのトラブルに見舞われたが、これは異物の侵入を防ぐカバーをくぐり抜けて、高速で回転するタービンを覆うシュラウド内に何かが飛び込んだためと考えられている。ターボはフェラーリにとって開幕当初からの弱点であり、信頼性にはずっと不安があった。それに加えて、保護能力の高いカバーに変更したことで、重量増のみならず、性能面での悪影響も懸念されている。
ここ数戦、フェラーリはギヤボックスのトラブルにも悩まされてきた。原因は、どうやらケーシングの剛性不足により、インターナルパーツに望ましくないストレスがかかることにあるようだ。
フェラーリは、メルセデスと同様にカートリッジ式ギヤボックスを採用している。その構造は、チタン製のインナーケーシングにギヤクラスタ全体を収め、そのユニットをカーボンファイバーで作られたアウターケーシングにボルトで固定するというものだ。このためコーナリング中にケーシングが歪むと、インターナルに想定外の力が加わって、作動の不具合や破損につながる可能性がある。
セバスチャン・ベッテルのクルマには、ハンガリーからアップデートされた新型ギヤボックスが搭載され、少なくともハンガロリンクで問題が再発することはなかった。パフォーマンス不足に悩むフェラーリ、少なくとも信頼性の弱点は解決されたのだろうか。