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初回から視聴率1.0ポイントアップ! 『侠飯~おとこめし~』が高い評価を受ける理由

2016年07月29日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンド映画部

 7月15日にスタートした生瀬勝久主演ドラマ『侠飯~おとこめし~』の初回視聴率は、2.0%という数字だった(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。これは、初回視聴率3.5%の『東京センチメンタル』、同3.8%の『孤独のグルメ season5』、同3.2%の『初森ベマーズ』など、同じテレビ東京系「ドラマ24」枠の過去の作品と比べても、いささか寂しいスタートだったという印象は拭えない。


参考:『侠飯』の柄本時生と『ヤッさん』の柄本佑 テレビ東京金曜ドラマは柄本兄弟が熱い!


 しかし、先週7月22日に放送された第2話では、第1話の2.0%から1.0ポイントも数字を伸ばし、視聴率3.0%を記録。第1話をピークに第2話以降しりすぼみ的に数字を落としてしまうドラマも多い昨今、これは快挙と言っていいだろう。7月にスタートした民放連続ドラマを見渡してみても、第1話から第2話にかけて1.0ポイント以上数字を伸ばしたのは、この『侠飯~おとこめし~』と『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日)の2作のみである(7月28日現在)。


 『侠飯~おとこめし~』は、ヤクザ間の抗争に巻込まれてしまった三流大学の就活生・岩水良太(柄本時生)と、柳刃組組長のヤクザ・柳刃竜一(生瀬勝久)との奇妙な共同生活を描いたグルメドラマで、柳刃が良太に振る舞うお手製の“侠飯”が、作品の大きな見どころのひとつとなっている。番組公式サイトでは、番組内で紹介された“侠飯”の詳細なレシピも掲載されているほどだ。Season 5まで続き、8月にはスペシャルドラマの放送も決まっている『孤独のグルメ』を手がけてきたテレビ東京にとっても、同じ“飯テロ”ドラマの『侠飯~おとこめし~』に寄せる期待は大きいだろう。


 福澤徹三による同名小説が原作になっていることもあり、第1話はプロローグ的な意味合いが強かった。柳刃が良太に振る舞うお手製の“侠飯”も、「オイルサーディンの缶ごと焼き」「冷凍枝豆とちくわのかき揚げ風」「ねぎ飯」という、“冷蔵庫の余り物で作る侠飯”が紹介された。一方、良太と柳刃の共同生活が始まった第2話では、“ガツンとくる濃厚中華の侠飯”として、「焦がし醤油の大蒜炒飯」「軟骨入り餃子」「創味シャンタンの即席スープ」の3品が紹介された。第2話からは、料理においても食材からこだわった本格的なものになり、結果的に料理目的でドラマを観る視聴者層の期待に応える形になったと言える。


 グルメドラマとして、料理が大きな注目を集めるのはもちろんのことだが、SNSなどでは、ストーリーの奥深さを評価する声が多く散見される。炒飯を炊きたての米で作った柳刃に対し、良太は「わざわざ炊かなくても、冷やご飯で…」と言う。それを受けた柳刃は、「そいつは大きな勘違いだ。暖かい飯のほうがフライパンの上でよくほぐれる」と説明しながら、「勝手な思い込みで向き不向きを決めるな。やらずに済ますやつに満足な人生なんてない」と言い放つ。その言葉は、出版関係への就職を望むも、最後の頼みの綱であった会社から不採用通知を受け取り、「これがダメだったら、もう他だって無理に決まっている」と言っていた良太の心に大きく響く。『侠飯~おとこめし~』は、柳刃とは年齢も境遇もまったく異なる良太が、彼の料理を通して人生のヒントを見つけていく成長物語でもあるのだ。このような物語の本質的な部分の評価が、結果的に数字に結びついていると考えるのも、不自然なことではないだろう。


 第2話では、本作唯一の女性キャストである内田理央演じる結城春菜と、良太との恋愛的要素も垣間見ることができた。さらに、本日放送の第3話では、春菜をはじめとした良太の大学の同級生たちが、良太の家を訪れ、柳刃と対面する模様が描かれるという。視聴率やストーリーの展開においても、早くも大きなターニングポイントを迎えそうだ。(宮川翔)