昨年夏から政府が推進している「ゆう活」。日照時間が長い夏に朝早く仕事を始め、早めに仕事を終わらせることで夕方を有効活用しようという取り組みだ。昨年、中央省庁では約22万人の国家公務員を対象に7月1日から8月末まで実施された。
今夏も7月1日から始まっている「ゆう活」だが、その成果は芳しくないようだ。27日の毎日新聞の記事によると、ゆう活の結果、残業が「増えた」と答えた人の方が「減った」と答えた人の数を上回ったという。
せっかく導入したのに「通勤ラッシュ時間避けられる以外のメリットなし」
記事では、各省庁の労働組合が作る「霞国公」に加盟する17組合のうち、厚生労働省の労組など10組合が行った調査を紹介。回答した2208人のうち、ゆう活で「残業が増えた」人は18.3%で、「残業が減った」人は13.9%だったという。
同紙はこれを「皮肉な結果」と評しているが、ネットでは「増えるに決まってるよな…」「分かりきってた結果(笑)」 といった声があがっていた。出勤を早くしただけでは、その時間も労働時間にあてられてしまうだけだというのだ。
「夕活で朝早く出勤したら、単純に夜に残業できる時間が増えるってなるわ…w」
「これって通勤ラッシュ時間避けられる以外のメリットないじゃないですか。残業減るわけがない」
中には、「ぶっちゃけ、霞ヶ関の多くの人から、逆に労働時間増えたって愚痴を聞きまくっていたもんな~」という人も。ゆう活には「悠々とした時間が生まれる」という思いも込められていたが、かえって追い込まれてしまった人も多かったようだ。
日本人は「遅刻はしないけど、時間できっかり終わることができない」
ゆう活が始まった当初からこのような結果になるという見方はあった。昨年7月、慶應義塾大学大学院特任助教の若新雄純氏は、「モーニングCROSS」(東京MX)で「ゆう活」に言及し、「なぜ朝早くしようとするのか」と疑問を呈していた。
日本人の特性として「遅刻はしないけど、時間できっかり終わることができない」点を指摘。そのため、「早く仕事を始めても早く帰ることはできない」と語っていた。まさにその通りになったわけだ。
そこで、若新氏は朝早く出社する「ゆう活」ではなく、かえって午前中は仕事を禁止し、スタートを遅らせた分一気に仕事に取り掛かる「フリーAM」という働き方を提唱した。実際、ゆう活の結果残業が増えてしまったので、生産性をあげたければ若新氏の提唱する「フリーAM」の方が適しているのかもしれない。
今回の結果を受けて、ネットでも、「『あさ活』にすべきだと思うよ。午後出勤にすればいい。そうすれば残業は確実に減るから」と同様の意見があがっていた。昨年のゆう活期間中は国会の会期が長引いてしまったのが原因の一つともされているが、果たして今年は成果を上げられるのだろうか。
あわせてよみたい:日本人が働き続けてしまう理由