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今宮純によるハンガリーGPドライバー採点&短評「トップ3チームに続いた価値」

2016年07月28日 16:51  AUTOSPORT web

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フェルナンド・アロンソ
F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、22人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間コース上のプレーを重視して評価する。ハンガリーGPで五つ星を獲得したドライバーは?

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☆ ジョリオン・パーマー
「今日こそは初入賞を」ピットで見守る、父ジョナサンも緊張。だが48周目、4コーナーで痛恨のスピン、入賞圏から転落にガックリ。フリー走行3回目では10位を得て自信を取り戻し、今年ベストの落ち着いたレース運びを続けていた。父はF2時代から、こういう低中速タイプが得意だった。サスペンション改良などによって戦力を高めていたルノーだけに、あのスピンが惜しまれる。
 
☆☆ バルテリ・ボッタス
 純白カラーのウイリアムズが最近は濁った灰色に見える。コーナリングに輝きがない。たえず修正が必要な挙動は昨年とは別のマシンのよう。予選中、アウトラップでフェリペ・マッサが恥ずかしいクラッシュ。懸命にボッタスが10位を確保、決勝で9位を守った。ダメなときの2点は貴重な“セーブポイント”、直近ライバルのフォース・インディアを退けた。
 
☆☆ ジェンソン・バトン
「エイトマン」バトンは、初日フリー走行から7位フェルナンド・アロンソにぴったり8位で続き、互いに刺激しあって攻めた。ラインワークは、やや違いトラクション重視。これが濡れ乾きに強いバトンの技。予選6位の可能性も大いにあった。それだけにレース中のブレーキトラブル、無線交信ペナルティ、オイル漏れ、唯一のリタイアは耐え難い。同情する。
 
☆☆ ニコ・ロズベルグ
 予選で起きた「ダブルイエローフラッグ問題」、審査委員会が下した無罪の判定は解せない。2本の黄旗振動は「ただちに止まる準備をせよ」という警告である。F1に限らずカートやすべてのカテゴリーで、そう解釈されてきた。セクター2において彼は0.1秒も「減速した」と主張し、自己ベストを記録し、ポールポジションを認められた。これが今後も判例になるとしたら、他のレースにも影響するだろう。彼の2位レースとは別次元の事象だが、いかがなものか。
 
☆☆☆ カルロス・サインツJr.
 7月の3戦で連続8位入賞、この週末しぶとさが目立った。カーバランス最悪状態の金曜から立て直し、セットアップ能力を証明。1年半で名実ともにトロロッソのエースに。1周目アロンソに出し抜かれたが、最後まで追走を貫く。
 
☆☆☆ セバスチャン・ベッテル
 苛立つ気持ちを周回遅れ、青旗へのクレームにぶつけるベッテル。最近、この類の無線が頻繁に流れる。言うことをきかない跳ね馬マシン、ターボ信頼性対策で2kg重量増加し、これが微妙にウエイトバランスを狂わせているとか。明らかに序盤戦より不安定な挙動、ライバルと同レベルのタイムを出すには、シビアな操作が求められる。つまりタイヤに厳しくなり、その苛立ちが、あの無線に……?
 
☆☆☆ キミ・ライコネン
 何度も仕掛け、何度も衝突事故寸前で回避、きわどいバトルを終盤続けた。57周目、2コーナー進入で右→左→右へ、その瞬間に接触。自分はフロントウイング左部分を破損、しかしマックス・フェルスタッペンのタイヤをカットしてはいない。コンマ何秒か遅れたら、そうなっていたはずだが、ベテランの攻めに無謀さはなかった。まったく不運な予選14位から6位。苛立つ気持ちはベッテルと一緒。
 
☆☆☆☆ ダニエル・リカルド
 2コーナーまでのレース、ルイス・ハミルトンの背後につけ狙おうとした隙を、アウトからロズベルグに攻め込まれてしまった。ミラー視界の外側だった。1周目のトップ3が、結果トップ3。メルセデス勢の一角を崩せず。ポールポジションのチャンスがあった予選Q3でのイエローフラッグが悔やまれるが、表彰台では、すっきりスマイル。
 
☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン
 ハンガロリンクで気づいた。右回りのここで彼はヘルメットを、やや右寄りに傾け、進行方向インサイドのミラー視界をなるべくワイドにとろうとしていたように感じる。世界最速の18歳は「ミラーの使い方」も巧かった。それを実戦学習させたのはライコネンだ。
 
☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン
 ファクトリーや本社に出向いても、ロズベルグほどスタッフと社交的に接しないと聞いたことがある。速い自分に自信満々、そんなハミルトンが今年は会見でもインタビューでも、必ず「みなさんのおかげです」と言葉を添える。V3・4冠を目指す彼の心境の変化なのだろうか。21戦マラソン、折り返し点をトップ通過。
 
☆☆☆☆☆ フェルナンド・アロンソ
 予選でスピンするアロンソを見るなんて。セクター2まさに鬼神のアタックで、Q3のドラマを演じた。3日間を通じて中速スラロームがやや苦しく、セクター1と3に重点を置いた。曲がりこむコーナーの旋回速度をキープ、そのままトラクションにつなげる。特にストレートに向かうセクター3の最終コーナーをまとめあげ、区間タイムは予選5位、決勝6位。こうしてホンダ・パワーユニットを788m直線でカバー。トップ3チームに次ぐ7位は、これまでの最高5位より意義あり。7月29日、35歳誕生日の前祝い。

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