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ROOT FIVEの魅力はWeb出身のノリにある? リアルでも活躍するメンバー個性に迫る

2016年07月28日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

ROOT FIVE『参乱 -MAIRAN-』(通常盤)

 2000年代以降、音楽でデビューを目指す人々にとって新しい入り口が出来た。動画投稿サイトからのデビューである。ニコニコ動画で歌い手と呼ばれる人々は、そのパイオニア的存在と言ってだろう。例えば、supercellの1stシングル『君の知らない物語』のボーカルを務めたやなぎなぎ、アイドルユニットClariS、ルーヴル美術館特別展「ルーヴル No.9 ~漫画、9番目の芸術~」のイメージソングを務める米津玄師など、実際多くの人がデビューを果たしている。そんな歌い手出身のアーティストの中でも、王道イケメン&イケボで人気を博しているのが、「ROOT FIVE」だ。


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 ROOT FIVEは、ニコニコ動画の歌ってみたカテゴリーで人気があったぽこた、みーちゃん、けったろ、koma'nの4人組ボーカルユニット。その人気はかなりのもので、元メンバーの蛇足を含めた5人の動画再生回数は3500万回以上。3rdシングル『Love Doctor』はオリコンランキング10位、4thシングル『新生Ω神話/ボク時々、勇者』は9位にランクインした期待の次世代アーティストである。さらに、歌だけでなくドラマやミュージカルなどに出演しているメンバーもおり、リアルとWebで活動をする“ハイブリッドアーティスト”として活動をしている。まずは、ROOT FIVEのメンバーを個別に見てみたいと思う。


■ぽこた


 元々は不動産会社のサラリーマンとして働いていたが、脱サラ後にROOT FIVEとしてデビュー。GACKTの歌声に似ていると言われるイケボの持ち主で、GACKT本人が出演していたニコニコ生放送にて「うまいね」と評されるなど、実力はGACKT本人のお墨付き。その歌唱力を活かして、2013年には『タカラモノ』でソロデビューを果たす一方、ミュージカル『ニコニコ東方見聞録』、『源氏物語』の主演を務めたり、音楽バラエティ番組『UTAGE!』(TBS系)にも度々出演。マルチな活動をするオールラウンダーである。


■みーちゃん


 182cmという長身、イケメン、高い歌唱力と、高いスペックを持つみーちゃん。かつて、同じく歌い手であるしゃむおんとコラボレーションしてアップロードしたボーカロイド楽曲「え?あぁ、そう。」は、歌ってみたカテゴリー過去最高1位となり、着うたにもなったほどだ。そんなみーちゃんの歌声の特徴は、ハスキーさと艶やかさ。爽やかな声が多いROOT FIVEの中で、良いスパイスになっている。さらに、2013年以降はアクセサリーの製作・デザインも行なうなど、歌以外でも自身のセンスを発揮している。


■けったろ


 ファンのほとんどが女性と言われている爽やかなイケメンのけったろは、グループの中でRAPを担当することが多い。ニコニコ動画にアップロードした動画の中でも、RAPを歌ったものが人気となっている。他にも、トランペットアレンジを好んで使う個性的なアレンジも行なうなど、幅広い音楽をこすマルチプレーヤーだ。また、テレビドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(フジテレビ系)にも出演するなど、その容姿を活かした活動にも取り組んでいる。


■koma'n


 最年少にしてリーダーを務めており、グループを引っ張っているkoma'n。3歳からピアノを始めたというだけあって、その腕前はかなりのもの。koma'nの弾き語り動画は常に上位にランクインするなど人気があるが、切ない歌声にも注目したい。表情豊かなkoma'nの歌声は、恋愛などの苦しい思いを表現するのにピッタリなのである。さらに、個人活動としてポエム写真集を発売するという一面も。その詩は楽曲の作詞にも活かされている。


 そんな4人からなるROOT FIVEの特徴といえば、MVの作りこまれた世界観ではないだろうか。ROOT FIVEの楽曲に、コンセプトを明確に設定した「Loveシリーズ」というものがある。3rdシングル『Love Doctor』は“医者と患者”、1stアルバム『ROOT FIVE』に収録されている『Love Hunter』は“獣”、6thシングル『Love Treasure』は海賊、そして2ndアルバム「ROOTERS」に収録されている『Love Ninja』は忍者。メンバー自身がコンテを手がけ、MVの世界観の作り込みにかなり力を入れており、歌詞もコンセプトが反映されつつクスッと笑ってしまうような内容だ。その根底にあるのは、Webのノリ。Web出身の彼らだからこそ、そのノリを上手く活かすことができ、成功しているのだと思う。


 近年、着実にアーティストの在り方は多様化してきている。そのスタイルの内の一つを根付かせたのが、ROOT FIVEではないだろうか。今後は、どのようなアイデアをみせてくれるのか。マルチな彼らに期待したい。(高橋梓)