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町へ着いたら、本屋をめざそう/長野・松本

2016年07月28日 00:02  オズモール

オズモール

写真


【毎週水曜 21:00 更新】
知らない町に迷い込むのと、本屋さんで心を遊ばせるのは、どこか似ている気がする。そして、旅先で出会った本の一節はなぜか、いつも以上に心に残ったりもする――。
全国の町の味わい深い本屋さんが、旅のお供におすすめの1冊を教えてくれる、リレー連載。
新潟県新潟市「BOOKS f3」店主の小倉快子さんがご紹介くださったのはこちらです











店主・菊地徹さん/まだ新しいお店の一角に鎮座する活版印刷機


◆「自分が大好きな街で、誰かを笑顔にする仕事がしたい」
念願叶って開いた、小さな本屋さん



 『栞日』の店主・菊地徹さんは静岡県の出身。大学卒業後、就職を機に引っ越した松本が気に入り、いつしかここで自分のお店を持ちたいと思うようになったという。
「学生時代、カフェでアルバイトをしていた頃、いつか自分が好きな街にお店を構えて、誰かを待っているような仕事がしたいなぁって漠然と考えていたんです。松本は、自転車があれば、どこへでも行けるコンパクトさが気に入っていて」
そこで、“街にまだないけれど、あったら楽しいもの”を作ろうと考えた菊地さんが辿り着いた答えが、本屋さんだ。扱っているのは、自身も好きなZINEやリトルプレスが中心。
「昔から松本は民芸や工芸の街として知られていて、「クラフトフェアまつもと」が開催されるなど、ものづくりに携わる人、知的好奇心旺盛な人が多い街。そんな人たちが興味を持ってくれるような場所にしたいと思いました」









「おいしいはたのしい」PomPom



◆春夏秋冬、松本の魅力がギュッと詰まった一冊。
松本には、おいしいものがたくさんあるんです。



今回、菊地さんがおすすめするのは、菊地さんも大好きという一冊「おいしいはたのしい」。著者のPomPomは、イラストレーターや陶芸家、写真家など、松本を拠点にさまざまな分野で活躍する6人の女性クリエイター。
四季折々の松本の風景や、地元の食材を使った季節のごちそうを中心に、それぞれの手仕事の作品が散りばめられ「ものづくりの街・松本らしい本。この本を読めば、松本の一年がわかりますよ」と菊地さん。
さらにひと言付け加えると、おいしそうな写真やレシピに食欲を刺激されるので、お気に入りのカフェで開くのがおすすめ。


『お気に入りの一節』
本当にたのしいことはすぐ近く、あなたの隣に転がっています。――おいしいはたのしいより














(上)栞日から徒歩10分ほどの場所にある「あがたの森公園」は菊地さんのお散歩コース。クラフトフェアまつもとの会場でもある
(中)桜の名所としても知られる弘法山古墳から松本の街を一望。菊地さんはここから見る空の景色が大好きだという
(下)お店さえなければ、好きな本を持って毎日でも通いたいという「珈琲まるも」。老舗の旅館に併設されたレトロな喫茶店


◆真夏のブックイベントも、活版印刷も。
本を中心に、楽しいことを提案していきたい



 2016年7月、以前お店があった場所から5軒だけ離れたところへ移転した栞日。理由もちょっとユニークで、とある印刷工房から活版印刷機を譲り受けることになったからだという。いずれはこの活版印刷機を使って名刺やグリーティングカードなども作れたらと、これから印刷技術を学んでいくのだとか。
 一方で、2013年より、真夏のアルプスの麓にあるキャンプ場を舞台に、本を楽しむイベント「ALPS BOOK CAMP」も主催したり、以前の店舗を宿泊施設にする計画が進んでいたりと、自由な発想で“まだないけれど、あったら楽しいもの”を探し続けている菊地さん。
 栞日を訪れる人は、足を運ぶたびに、ワクワクしながら次のページをめくるような気持ちを味わっているのかもしれない。




TEL 0263-50-5967
長野県松本市深志3-7-8
営業時間/7:00~18:00(夏期営業時間)
不定休

喫茶まるも
TEL 0263-32-0115
長野県松本市中央3-3-10
営業/4~10月 8:00~18:00
営業/11月~3月 9:00~18:00 土日祝 8:00~18:00
無休





WRITING/MINORI KASAI