グッドスマイル 初音ミク AMG (C)米山舞 / CFM GOODSMILE RACING & TeamUKYO
レースレポート 3
SUGOは今年も波乱のレース展開ながら7位完走で終える
SUPER GT 第4戦
会期:2016年7月23~24日
場所:スポーツランドSUGO
(宮城県)
天候:雨~晴れ
動員:3万7700人(2日間)
予選:8位
決勝:7位
■7月23日(土)
ライバルの速さに苦戦するも、予選は8番手でクリア
第3戦オートポリスが「平成28年(2016年)熊本地震」の影響で中止になったことで、第2戦富士から約2ヵ月半が空いたSUPER GT 2016。久々のレースの舞台になるのは宮城県にあるスポーツランドSUGOだ。ここは初音ミクGTプロジェクトの参戦当初から苦い結果が続くサーキットである。2009年から2015年までの7シーズンで、SUGOをポイント圏内でゴールできたのは僅かに2回のみ、2011年の6位が最高位なだけに、今年こそはなんとしても表彰台に登りたい。
7月23日土曜日。朝から気温が想定よりも低く、練習走行時の路温がなかなか上がらない。上位チームは軒並み1分18秒台を叩いており、予選1回目(Q1)を勝ち残るには最低でも19秒台前半を出す必要がありそうだ。
午後2時半、予選開始。Q1は片岡選手が担当。早々に1分19秒台を叩き出すも、ライバルたちも速く、徐々にQ1カットラインである14位に追いやられてしまう。しかしここからが片岡選手の真骨頂、落ち着いた走りで練習走行時のベストタイム「1'19.626」を大幅に更新する「1'19.011」をマークし、10番手でQ1をクリアした。
予選2回目(Q2)は谷口選手がアタック。しかし、走行開始直前に雨が降り始めるという波乱が。スリックタイヤで先にタイムを出したほうが有利なので、早々にコースイン。片岡選手の記録を上回る「1'19.005」を叩き出すも、7位までの車輌が18秒台を記録したため8番手でQ2を終えた。決勝は8番グリッドからのスタートとなる。
■7月24日(日)
衝撃的な幕切れ。決勝は7位完走
SUGOの天候が変わりやすいのは毎年のことだが、今年もやはり天候に悩まされた。日曜のサーキットは朝から小雨模様ながら、天気予報によると10時には雨が止むとのこと。しかし予報と裏腹に雨脚は強まり、練習走行ではウェット宣言が出され、レインタイヤに履き替えての走行となった。チームは決勝スタートまでに雨が止むと読み、終了時間を待たずにピットインして決勝に備えた。
午後2時の決勝レーススタートまで、小雨が降ったり止んだりという状況が続く。路面はサポートレースのFIA-F4シリーズでレコードラインは乾きつつあったが、それでもドライコンディションにはならない。今年もタイヤチョイスで悩まされたが、スタート直前に雨はほぼあがり、全チームスリックタイヤでのスタートとなった。片岡選手がスタートを担当する。
レーススタート直後、1周目に7位にポジションアップするが、4位から7位までがほぼ同じペースで走行しており、コース幅が狭く抜き所の少ないSUGOでは各車なかなかオーバーテイクできずに膠着する。片岡選手の安定したドライビングにより前の車輌とのギャップが広がることはなく、アクシデントも起きずに好ペースでラップを消化していた。
レースが動いたのは23周目。GT300のマシンがコースオフし、回収のためにセーフティーカー(SC)がコースインする。昨年のSUGOのレースではSCコースイン中にピットインする車輌が殺到した結果、ピット出口が大渋滞して揃って周回遅れになるという珍事が起きた。この事態が原因で、今年からはSC中のピットインが禁止されている。しかしSC解除のタイミングで各チームが一斉にピットインする可能性があり、結局そこで昨年同様のピット渋滞が発生する事が懸念されていた。片岡選手と河野チーフエンジニアは無線でピットインのタイミングを話し合い、チームはそれでもSC解除後すぐにピットインする決断をした。
ピットインでは懸念された渋滞は発生せず、チームはタイヤを左側2本のみ交換する作戦でピット作業時間を短縮、谷口選手に交代して無事にコースに戻る。このときピットロードで55号車(ARTA BMW M6 GT3)に抜かれてしまうが、直後に55号車はスピンしてクラッシュ、戦線離脱となった。更に前を走る21号車(Hitotsuyama Audi R8 LMS)がスロー走行になり、39周目には10位に。
その後、GT500のバトルに巻き込まれて一時ペースを乱されたものの、42周目に9位、50周目に8位、52周目に7位と順調に順位を上げていく。途中、アウトラップのマシンに引っかかって63周目に8位に順位を落とすも、トップ争いをしていた18号車(UPGARAGE BANDOH 86)のペースが落ちてきて、66周目に再び7位へ浮上、前を走る88号車(マネパ ランボルギーニ GT3)にコンマ数秒差まで追いつき、オーバーテイクのチャンスを伺う。
そして71周目。残り6周を残すのみという時間に18号車が最終コーナーでコースアウト、クラッシュする。SUGOの最終コーナーはコースアウトの名所とも言える危険なコーナーのため、SC導入ではなく赤旗中断となる。この時点でレースは成立していた為、そのまま終了となった。
レースを語る上でタラレバは禁句だが、あとすこしで前を行く88号車を抜けたかもしれなかっただけに悔しい終わり方となった。しかしなんとか4ポイントを獲得して、シリーズランキングも5位を維持した。
トップとは14ポイント差となってしまったので、次戦富士スピードウェイでこの差を縮めたい。
■チーム関係者コメント
片山右京 監督
4号車として今できることはすべてやりました。GT3勢にはついていけたけど、JAF勢にはついていけなかったので、この差をどうやって詰めるのかが課題ですね。11号車とのバトルもコンマ5秒くらい負けてたのが悔しい。タラレバですが、タイヤを4輪全部交換していたらどうなっていたかなと考えてしまいます。最後はもうちょっとで88号車を抜けたんですが、仕方ないですね。
大橋逸夫 コミュニケーションディレクター
SUGOっぽい荒れたレースでしたね。JAFが速いのは仕方ないとして、4号車にもうちょっと運があれば順位をひとつ上げられてたかなと。谷口選手のスティントのときに、500のバトルに巻き込まれたり、前のクルマに引っかかっちゃったりと、普段の谷口選手に起こらないことが起きてしまい、ペースが上がらなかったのは残念でした。予選の展開を見ていると、決勝ではよくて5位くらいだと思っていたので、予想どおりの順位ではありますね。
谷口信輝選手
今回は何事もなくレースできたのですが、ライバルに比べるとちょっと速さが足りませんでした。レースペースも悪くはなかったんですが、速くもなくで。途中GT500の集団に飲み込まれてペースを大幅に落としてしまいましたが、特に接触があったわけではありません。最終的にレースは赤旗で終わってしまいましたが、あと1周あったら88号車は抜けたかもしれないので、悔しかったですね。
片岡龍也選手
今回、選択したタイヤが硬めだったので、欲しい気温よりも低い中でのレースでした。フォーメーションラップでもタイヤが暖まりにくく、なんとか順位をひとつあげたけど、それ以上抜くことができず、かといって離されもせずという展開で、上に行くにはもう少し力が必要だなと。自分的には今あるパッケージの中ではそこそこのパフォーマンスを発揮できたと思います。チームとしては100点とは言えませんが、90点以上のレース内容だったと思うので、足りない部分の強化を次戦までに図りたいですね。