厚生労働省が7月26日に発表した2015年度の「雇用均等等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は前年比0.35ポイント上昇の2.65%。調査を開始した1996年以来最高の取得率となり、各紙は男性の「過去最高」と報じている。だが、安倍政権が2020年までの目標として掲げている20%には遠く及ばず、ネットでは失笑の声が出ている。
男性の育休取得日数「5日未満」が約6割 「それ育休じゃなくて普通の有休」
調査は、全国の従業員5名以上の5850事業所を対象に実施。2013年10月から2014年9月までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、2015年10月1日までに育児休業を開始した男性(育児休業の申出を含む)の割合を調べた。
男性の育休率は2012年に1.89%まで落ち込んだが、2013年からは3年連続で上昇している。過去最高とはいえ2.65%では、100人に対して2~3人程度しか育休を取得していないこととなり、決して高い数値ではない。
育休を取得した日数も悲惨だ。女性の育児休業期間は「10か月~12か月未満」が31.1%と最も高かったのに対し、男性は「5日未満」が56.9%と半数以上。女性とは大きな隔たりがある。
この現状に対し、ツイッターでは、
「それ育休じゃなくて普通の有休やで。それでいてこれを自慢する人がいるのにも驚くよ」
「取得期間5日未満が56.9%で、実績作りの取得が相当あるはず(無駄ではないが)。男に育休が無いに等しい」
「育児休暇5日っていったい何が育つって言うんだ」
など、突っ込みのコメントが相次いだ。
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」日本人男性の約半数が賛成
高知在住のプロブロガー、イケダハヤト氏もブログで言及。以前、2012年度のデータを引用していた際に、
「お子さんをお持ちの方であれば、『1~5日』の休みが、どれほど役に立たないものかは、よくご存知でしょう。(中略)まさになんちゃって育休!それ普通にただの有休じゃん!」
と揶揄していたが、今回は、「2016年の調査でも、現状はちっとも!変わってません。ヤバいですね日本」と驚愕。その上で、内閣府の「男女共同参画白書」(2013年版)から子育てに関する意識を国際比較したデータを紹介している。
それによると、日本では46.5%の男性が、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に賛成と回答したのに対し、スウェーデンの男性は8.9%と、意識の差が顕著に表れている。スウェーデンは男性の育休取得率が80%と言われ、男性が育児に関わろうとする気持ちが高いことで有名だ。
イケダ氏も「ほんとうにヤバいですよね、日本。『夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである』って、戦前かよ。日露戦争くらいの価値観じゃないかそれ?」と批判していた。取得率向上には、まずは意識を変え、柔軟な働き方を認める世の中にしていくことが不可欠だろう。
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