ポルシェ・チームのエースであるマーク・ウェーバーと、アウディスポーツ・チームヨーストのエース、アンドレ・ロッテラーは、先の週末に開催された世界スポーツカー耐久選手権(WEC)の第4戦ニュルブルクリンクで、『フルコースイエロー』導入時のバーチャル・セーフティカー(VSC)手順の渦中に置かれた。
現世界王者であり、元F1ドライバーでもあるウェーバーは、F1と同様の80km/h制限ではなく、『スローゾーン』と呼ばれる60km/hに制限された区間も持つWECのシステムは「宝くじのようなものだ」と表現した。
「フルコースイエローを実施するには、まだいくつかの改善作業をする必要がある。それは現時点では、少なからず"ロシアン・ルーレット"のようなものだと言わざるをえない」
「レースに少し混乱を招いた要因であるように感じたし、フルコースイエローの瞬間には、規則の80km/hではなく、目の前のマシンが60km/hで走っていたから、かなりの時間を失った」と、ウェーバー。
それに対し、ロッテラーは次のように付け加えた。
「僕もマークに同意する。こういうハイレベルな状況でレースが進んでいる場合、このフルコースイエローの仕組みはロシアン・ルーレットのように感じるね」
「つまり、彼らはレースを破壊している。だから、僕らは一度座って、それについて話をする必要があるだろう」
ウェーバーは、このVSCピリオドで、チームメイトの2号車ニール・ジャニ/マルク・リーブ/ロマン・デュマ組との間に築いた40秒のギャップを一気に失ってしまった。それでも、ウェーバーはティモ・ベルンハルト/ブレンダン・ハートレーと共闘し、最終的にはマルク・リーブがバックマーカーとのアクシデントでペナルティを課されたため、ニュルブルクリンクでの勝利を手にしている。
LMP1-Hと同様に、GTEproクラスでもVSCによりリザルトが大きく影響を受け、アストンマーティンは表彰台に、フォードGTは不運に見舞われたが、WECプロモーターであり選手権のスポーティングディレクターも務めるヴィンセント・ボームスニルは、VSCに対する不満を退けた。
「現在の方法以外でセーフティカーを運用しようとした場合、さらにレース結果にドラマティックな影響を与えてしまう可能性が高い。それは決して忘れないでほしい」と、ボームスニル。
「安全を確保するための手順が影響をゼロにすることはできないが、それでもこの方法がレースのリザルトに与える影響は最小の部類であることを信じている」
また彼は、ニュルの週末に6度のVSCが導入されたことについても、システムの過剰使用には当たらない、と否定した。
「我々はトラック上のマーシャルにローカル・イエローの指示を送ることまではできないわけだからね」
また、ル・マン24時間のために導入された『スローゾーン』と呼ばれる、ローカル・フルコースイエローに関しては、サルトでは有用でもレギュラーの6時間レースでは最適ではなかったかもしれない、とも付け加えた。
「私の見解では、フルコースイエローはWECに最適なシステムだと感じている。ただ、サルトではサーキットが非常に長いので、その点では難しさがある」