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内定承諾後の「親への手紙」に用心! 「ご両親の教育の賜物」はゴマすりかもしれない

2016年07月27日 11:01  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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17年卒の学生の就職活動、企業の採用活動も一山超えました。採用担当者としては「内定承諾書の提出」までいければ、なんとか面目を保てたというところでしょう。しかし現在は人手不足の売り手市場、まだまだ安心することはできません。

実は内定後のフォロー活動として、近年注目されつつあるのが「親へのアプローチ」です。学生自身へのフォローと並行することで、内定後の歩留まりを上げる効果があると考えられています。実は弊社でも数年前からいくつか導入しているのですが、予想外の効果を見せている手法もあります。(文:河合浩司)

家庭訪問で「歩留まり率」が上がる現実

フォロー活動の典型的なものの一つは、内定承諾書を提出してもらった後、社長の名義で親向けに手紙を送るというものです。その内容は「御子息・ご息女のような素晴らしい方との出会いに感謝」から始まり、「面接での高い評価」から「ご両親の教育の賜物である」とつなげます。

そして「4月から一緒に働けることを楽しみにしている」とともに、「厳しく接することもあるかもしれませんが、よろしくお願いします」という結びになっています。

最初にこの手法を聞いたときは「そんな安直な方法が効くわけがないだろう」と思っていました。しかし、意外や意外。内定者に話を聞くと、手紙に感動したという親御さんの話を複数人から聞いています。不思議なことに、母親からの評判が非常に良いようです。

文面は社長から口頭でヒアリングをしていますから、ウソではありません。しかし最終的には私が勝手に書いた文章です。こんなことくらいで内定者の歩留まり率が上がるのであれば、仕事として今後も書いていきます。

他社の人事仲間から聞いた話では、学生の実家が近い場合や同居している場合は、家庭訪問によるごあいさつも非常に有効なのだそうです。一度こうして親御さんを味方につけておくことで、学生が他社からアプローチを受けたときに、自社への就職を後押ししてくれることが実際に起こっています。

「なんて良い会社なんだ!」と早合点してはいけない

ホンネをいえば、実の親からのアドバイスさえも蹴って、自分の意思を貫くような主体性を持った人材にこそ入社してほしいところです。しかしそのような人ばかりではないのも現実ですから、それに対応していかざるをえないのです。

他にも企業によっては、親向けの会社説明会や会社訪問も開催しているようです。内定者懇親会に親も一緒に招待する話も聞くようになりました。個人的には正直なところ「どこまで外堀を埋めればいいのか…」と複雑な気持ちもあります。

ということで、採用担当者は現実を踏まえたフォロー策を考えるわけですが、今後は若者を使い捨てする「ブラック企業」もこれらの手法を使っていくことでしょう。いや、すでに実施しているかもしれません。

「親にまで気を遣ってくれるとは、なんて良い会社なんだ!」

そう早合点しないで、学生と一緒に会社についてしっかり調べる親御さんが増えることを個人的に願っています。学生も、企業からおかしなアプローチを受けたら、ぜひ大学の就職課職員さんや親御さんに相談してください。

ただし、「早く就職先を決めて欲しい」という気持ちが強いばかりに、「会社のことを信じなさい」とか「多少の我慢はしなさい」と強いる親御さんもいます。親の感覚も絶対ではないことは、気を付けておいた方がいいかもしれません。

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