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「カードローンはサラ金より危険」借金地獄から抜け出すための「債務整理」

2016年07月27日 10:12  弁護士ドットコム

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大手銀行のカードローンや消費者金融のCMに人気女優や俳優が出てくることが増え、借り入れを何となく身近なものに感じている人も多いのではないでしょうか。審査も通りやすく、気軽に利用する人もいるようです。


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しかし、便利で使いやすいがために、気づかないうちに借り入れ額が膨らんでいることもあるかもしれません。もしも返しきれなくなってしまったら、どのような解決方法があるのでしょうか。冨本和男弁護士に聞きました。(取材・文/ライター・吉田彩乃)


●「浪費で使い込む人は多くない」


ーーそもそも、借り入れをする人はどのような事情を抱えているのですか?


ギャンブルや買い物などの浪費で使い込む方が多いと思うかもしれませんが、実際はそこまで多くありません。家計の足しにしたり、引越し費用にしたりする方が多いですね。あるいは、失業・転職などをして収入が減ったけれど、「子どもを私立から公立の学校に転校させたくない」「生活レベルを維持したい」といった理由で借金しているケースもあります。


最近、銀行のカードローンがCMなどで盛んに宣伝されていますが、多額の借り入れがしやすいという点で、実はサラ金より危険です。サラ金は借りられてもせいぜい数十万単位ですが、銀行のカードローンは限度額が数百万円単位なので、いくらでも借金ができてしまう。結果的に、借金も返済額もどんどん膨れ上がってしまいやすいので、注意が必要です。


ーー借り入れを重ねて、返済額が収入から払いきれないほどに膨れ上がってしまった場合、どのような解決方法があるのでしょうか?


債務整理をすれば、一括で請求がくるものを分割に変更することができます。その場合、収入や家族構成、月々の出費などを全て考慮して、月々に実現可能な返済額を弁護士が提案します。


また、利息の支払いを止められるのもメリットです。例えば利息18%で30万円借りたとします。その場合、1万円返済したとしても、そのうちの4500円は利息の支払いにあてられてしまい、借り入れに対する返済は5500円分にしかなりません。1万円返したからといって、借金の総額が29万円に減るわけではなく、借金は29万4500円残っている状態になってしまうのです。


利息の支払いを止めることによって、支払った分だけ借金が減っていくので、終わりが見えない状態から抜け出しやすくなります。


ーー「個人再生」という言葉を聞くこともありますが、どのようなものなのでしょうか?


債務が全て免責になる自己破産とは違って、個人再生は債務を部分的に免責できる制度です。自己破産したくても、事情があってできない人が個人再生を選ぶことが多いですね。


たとえば、警備員や生命保険会社に勤める人などは、自己破産すると仕事ができなくなってしまう場合があります。あるいはマイホームを持っている人は、自己破産すると自宅を手放さざるを得なくなります。自己破産をすると、再度住宅ローンを組むことも難しくなるでしょう。こうした場合には、個人再生することになります。


● 「収入から家賃を引いた残り3分の1が返済額の限度」


ーー借金の返済が苦しくなってきたら、どうしたらいいでしょうか?


その人の収入にもよるので一概には言えませんが、本人は苦しくても、月々の返済額が数万円程度のうちは、債務整理ができない場合があります。月の返済額が十数万、数十万など2ケタになったら、弁護士に相談することをお勧めします。


月々の返済額の目安を出す計算式があります。手取りの収入から家賃を引いた金額のうち、3分の2は生活費、残りの3分の1が返済額、という割合が、月々返済できる金額の限界です。例えば、月の手取りの収入が40万円で家賃が10万円だとします。その場合、月々の返済額が11万円を超えるようになったら、債務整理を考えた方がいいでしょう。


多くの人は、自分で借りたお金なのだから、と自力で返済しようと頑張ります。しかし結局、返済をして足りなくなった生活費を補うためにまた借金をして...と悪循環にはまり、首が回らなくなってから、ようやく相談に来る人が多いです。そうなる一歩手前で手を打つことをお勧めします。




【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。

事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp