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美容師の待遇、なぜこんなにも悪いのか 長時間拘束の肉体労働なのに平均年収は284万円

2016年07月26日 18:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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オシャレで華やかなイメージのある美容師。日本パーソナルファイナンス協会が発表した2015年の「小学生のなりたい職業ランキング」では、美容師は小学生女子のなりたい職業7位にランクインしており、人気の高さがうかがえる。

一方で、その労働環境はあまりよくないのが現状だ。入社3年目の美容師の退職率は約70%というデータもある。美容師の待遇の悪さはネットでも度々議論されており、7月24日にも2ちゃんねるに「美容師ブラックすぎてワロタ」というスレッドが立った。美容師をしているスレ主が、

「半年経っても有給は10日貰えない(あっても使えない) 毎日サービス残業 薄給 ボーナス無し ただでさえ自分の時間取れないのに休みとらしてくれよ」

と待遇への不満をぶちまけている。

営業時間終了後は技術向上のために遅くまで練習、しかし手取りは10万円台後半

スレ主によると、ノルマを達成しないと有休を使えないのだそうで、一般企業と比較するとそれだけでもブラックだ。

美容師は拘束時間が長いことでも知られている。キャリアガーデンによると、多くの美容室では、技術向上のための時間を営業終了後に設けているが、その時間は無給のところが多いという。また、休日返上で練習することもあり、その場合はアシスタントだけでなく、スタイリストも拘束されることになる。

しかも給与も低い。年収ラボによれば、2015年の美容師の平均年収は284万円。平均月収にすると23万円であり、手取り額にすると10万円台後半となる。だがこの額は店長やスタイリストなどを含めた平均額であり、アシスタントであればさらに低い。

現役美容師の男性が先日公開したブログによると、美容師の給料は固定給+歩合給が多いという。男性が歩合率についてアンケートを取ったところ、回答した302人のうち55%が歩合10%以下だった。中には歩合3%という美容師もいた。仮にカット料金が3500円だとすると、一人切っても、入るのは350円以下、ということになる。

これではどんなに頑張って自分の客を増やしても大して懐に入らない。実際に美容師として働く人からも「一人暮らしは無理」という声が聞かれる。

「店舗過剰」と「低価格化」がブラックな職場環境を招いている

なぜ美容師の待遇はここまで悪いのだろうか。厚生労働省の資料によると、2014年の従業美容師数は48万7636人と前年よりも約8000人増加。同時に美容所の数も前年比で増加している。

同資料内にある経営の動向等欄では、

「美容業界にとって、近年の『店舗過剰』、『低価格化』、『客数の減少』は利益の減少の要因となっているが、特に『客数の減少』については経営者の多くが経営上の問題として第1にあげている」

と明記されている。1000円カットなど低価格の店舗が増えたことによる競争の過熱がブラック化の背景にありそうだ。

美容師は肉体労働なため、体を壊して辞める人も多い。筆者(編集部S)の知人にも元美容師の女性がいるが、「連日の長時間労働で体を壊し、退職を余儀なくされました」と語っていた。また、営業終了後も清掃やカット講習などがあり、帰宅は日付が変わってからだったという。まずは労働基準法を確実に守るところから始めるべきだろう。

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