基本設計が2008年のCBR1000RRを武器として戦うホンダ。エースチームはMuSASHi RT ハルク・プロ。ヤマハ、カワサキが相次いで新型を投入したために、今年も苦戦を強いられると見られる。
しかし、全日本ロードレース(JSB)、FIM世界耐久選手権(EWC)のレギュレーションの限界までにチューニングを施すことで、最新モデルに匹敵するポテンシャルを発揮する可能性もある。
昨年、ハルク・プロから参戦したケーシー・ストーナーは、トップ10トライアルでマークした2分6秒335がそれを物語っている。ヤマハの最新モデルYZF-R1に対してコンマ3秒まで追い詰めているのだ。
昨年もハルク・プロがJSBで使用しているマシンとは大きく異なる車両で鈴鹿8耐に参戦していたが、今年もテストを見る限り全日本とは違う車両が持ち込まれている。全日本にファクトリー参戦をしていないホンダは今年、ニッキー・ヘイデンを招聘し、高度にチューニングされたファクトリーCBR1000RRを用意していることに疑いはない。
タイヤは国内では最高のポテンシャルを発揮しているブリヂストンの16.5インチ。今年からSBKに参戦し、優勝も果たしている元世界チャンピオンのヘイデンがどこまで本領を発揮できるか。2013年、2014年と2連覇を果たしている高橋巧とマイケル・ファン・デル・マークがどこまで底力を見せられるのか。その走りに注目が集まる。
スズキはファクトリー参戦をしていないが、ヨシムラとチームカガヤマをバックアップしている。GSX-R1000は2012年型をベースモデルとするが、毎年細部のリファインがされている。熟成を重ねたエンジンは、特に加速活きでのポテンシャルを高めている。
ヨシムラは他のトップチーム同様、ブリヂストン16.5インチタイヤを採用。チームカガヤマのマシンもヨシムラのチューニングが施され、ポテンシャルは同等だがタイヤはダンロップ。トップチームとして先行開発の16.5インチを履く。
ヨシムラは鈴鹿8耐の第1回大会覇者。以来計4回の優勝を果たしている。一方のチームカガヤマは3年前に鈴鹿8耐参戦を開始し、3年連続で3位表彰台を獲得。ヨシムラはブリヂストンの11連勝を、チームカガヤマは2003年以来のダンロップ優勝を担っている。
カワサキのマシンの外観は大きく変わっていないが、2016年型のZX-10Rはかなりのポテンシャルアップを果たした。エンジン本体、車体など、ブランニューモデルとなっている。SBKではジョナサン・レイとトム・サイクスが席巻。他を寄せ付けない速さを誇っている。
全日本でも各コースで最高速をマークするなどマシンの速さは折り紙付きだ。タイヤはブリヂストンの16.5インチ。全日本では渡辺一樹が頭角を現し、常に中須賀のすきをうかがうポジションでレースをしている。
さらに、今季はブリティッシュ・スーパーバイク選手権(BSB)でカワサキに乗るレオン・ハスラムが、シーズン前から鈴鹿8耐参戦を表明。他のどの国外ライダーよりも多くのテストに参加している。
一昨年に13年ぶりに鈴鹿8耐参戦を復活したカワサキ。93年のスコット・ラッセル/アーロン・スライト組優勝以来の鈴鹿8耐制覇を虎視眈々とねらっている。