2連覇へ向け盤石のヤマハ 昨年、リニューアルを果たしたヤマハYZF-R1。今年は熟成を重ねて去年以上のポテンシャルアップがされている。
全日本ロードレースのJSB1000クラスでは、これまでに中須賀克行がYZF-R1で4年連続、通算6回のタイトルを獲得。さらに新型YZF-R1が登場してからは10連続ポール・トゥ・ウインを達成しているほど圧倒的な強さを誇っている。また、ノーマルエンジンを搭載するSST仕様のYZF-R1も戦闘力が高く、他メーカーのEWC仕様車に迫る速さを誇る。
昨年の鈴鹿8耐覇者、YAMAHA FACTORY RACING TEAMが武器として用いるファクトリーチューニングを施したYZF-R1は、相当なポテンシャルを持っていることがうかがい知れる。クロスプレーンクランクシャフトを採用しているYZF-R1は、トルク感あふれる加速と高回転でのスムーズな吹け上がりが他を圧倒していると言われている。
タイヤはブリヂストンの16.5インチを採用。熟成を重ね、昨年までのMotoGPワンメイクタイヤ造りで得たノウハウを100パーセント注ぎ込んだ新しいタイヤが投入されている。ハード面は万全の体制だ。
昨年の鈴鹿8耐ではYZF-R1の燃費が懸念材料と取沙汰されていた。しかし、いざレースが始まってみると杞憂に終わった。昨年のテスト段階では気温が高いときに燃料の噴射量が多くなる傾向があった。しかしさすがのファクトリーチーム。しっかりと対策し、レース本番には、ほかのどのチームに比べても低燃費のマシンに仕上がっていた。
今年はさらにインジェクションのセッティングも煮詰まり、昨年以上の低燃費が実現できそうだ。全日本第5戦SUGOラウンドのセミ耐久でも、上位陣の中でピットインのタイミングが最も遅かったことからも、それがうかがえる。
YAMAHA FACTORY RACING TEAMの3人のライダーの中で中須賀とポル・エスパロガロは昨年の優勝チームメンバー。今年新加入のアレックス・ロウズは今年2度目の参戦。昨年はヨシムラから参戦し、活躍した。
ライダーの面でも盤石の体制。マシンもライダーも最高の物がそろい、ヤマハ2連覇に向けて死角はない。唯一の不安材料は油断。鈴鹿に棲むと言われている魔物が最大の敵かもしれない。