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【やっぱり…】最初の就職が人生に及ぼす深刻な影響 スタートが非正規だとその後も「心理的ストレス」を抱えることに

2016年07月26日 10:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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多くの人が苦戦する就職活動。学生は企業研究を行い、大量のエントリーシートを提出し、面接に臨む。やりたい仕事に就くという目標以外に安定した雇用を手に入れることが目的という人も多い。

一度非正規雇用になってしまうと、正規雇用に就くことが難しいと言われているが、実際初めての職はどれほど意味を持つものなのだろうか。「初職がその後の人生やメンタルヘルスに及ぼす影響」という論文では、初職が正規雇用以外の場合、現在の職や経済状態、婚姻状態、メンタルヘルスにどのような影響を与えるかを分析している。

「初職でつまずくことは、それ自体が人生の失敗として受け止められる」

同論文は小塩隆士教授(一橋大学)と稲垣誠一教授(東京工業大学)が2014年5月に独立行政法人経済産業研究所で発表したもの。インターネット調査を実施し、30~60歳の男性3117人、女性2818人から回答を得た。

その結果、初職が正規雇用以外であれば、

「現在の就業状態が正規雇用以外になりやすいほか、所得も低くなり、未婚にとどまり、心理的ストレスを感じる度合いも高くなる傾向がある」

ということが分かったという。抑うつの度合いを示す数値で、5以上で心理的ストレスを抱えていると評価されるK6スコアも、初職が非正規の場合、男性で7.87、女性で8.57という結果になった。

特に男性の場合は初職が直接的にメンタルヘルスに作用しているという。初職が正規雇用以外の場合、その後の就業状態や経済状態、婚姻状態に関わらず現時点でのK6スコアが高めになった。

論文では、「初職でつまずくことは、それ自体が人生の失敗として受け止められ、心の傷としてその後のメンタルヘルスを大きく左右し続けるようである」と分析。また、男性の方が顕著であることについて、「それだけ、男性のライフスタイルが直線的であり、そこから外れると巻き返しが効かないと認識されやすいということかもしれない」と述べている。

「雇用システムの見直し、セーフティ・ネットの改革が必要」と提言

なぜ、初職がその時だけではなく後にまで影響するのだろうか。論文ではその原因に日本の雇用システムが関係していると指摘している。

「日本の雇用システムが、いったん非正規になっても容易に正規に転じることができ、また、非正規でも処遇や賃金、セーフティ・ネットの面で不利にならなければ、初職がここまでその後の人生を左右することはなかったであろう」

現在の日本では、一度非正規雇用になると抜け出すのが難しい状況になっている。そのため、論文では「新卒採用を含めた雇用システムの見直し、そして雇用構造の変化に応じたセーフティ・ネットの改革が必要」だと提言している。

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