2016年07月26日 10:32 弁護士ドットコム
金曜日の午後8時から午前9時まで夜勤をして、翌日は午前9時から午後5時までの日勤ーー。上司から合計21時間労働の打診を受けたことを報告するツイートが、「社畜の闇」だとして話題になった。
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このツイートに対して、「私、今度、9:00~翌日9:00までの24時間労働があるんだけどwww」「9~9(24h)のあとに同じ日の18~18(24h)ならやったことあるけどもうやらんわ」など、過酷な連続勤務の体験談が相次いだ。
連続勤務は体にも相当な負担になるため、労災の適用が1つのポイントになりそうだが、そもそも長時間の連続勤務に法的な問題はないのだろうか。連続勤務の抑制のためには何が求められるのだろうか。木村純一郎弁護士に聞いた。
「企業は労働者に、1週40時間(特例では44時間)または1日8時間を超えて労働させてはいけないことになっています。(労働基準法第32条1項、同条2項)
また、労働時間が6時間から8時間であれば45分、8時間を超えれば1時間の休憩を与えなければなりません。しかし、労務管理について経営者と一体的立場にあるような部長や工場長など、『管理監督者』は除外されます。これらの労働基準法の定めに違反すると刑事罰が科されます」
とはいえ、労働者の実態はこれらの規定からかけ離れているのではないか。
「もっとも、企業は、
(1)災害・公務による臨時の必要がある場合と(2)労使協定(36協定)が締結されている場合には、労働者に、先ほど説明した範囲を超えて労働させることができます。
条文では労働時間の延長限度を定めていますが、『特別の事情』があればその限度を超えて労働時間を延長できます。また、限度時間には上限がありません」
では、あまりに過酷な連続勤務になっても、法的に問題ないのだろうか。
「企業には労働者の労働時間を適切に管理する義務がありますので、不合理な長時間労働によって労働者の心身の健康が損なわれた場合には、企業は安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負います」
具体的にはどんな対策があるのだろうか。
「処罰の厳格化や、勤務終了時から翌日の始業時までに一定時間を空ける『勤務間インターバル規制』の導入が挙げられます。
近年、厚生労働省はこの制度を導入した企業に助成金を出す方針を固めたことも、連続勤務の抑制に役立つと思われます」
木村弁護士は、このように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
木村 純一郎(きむら・じゅんいちろう)弁護士
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