昨年のダカールラリーに続き、自身2度目のラリーレイド挑戦となったセバスチャン・ローブ。7月8~24日にモスクワからカズフスタンを経由し、北京を目指す10000km超えのレイドイベント『シルク・ウェイ・ラリー』に、プジョー2008DKRsで挑んだローブだったが、チームメイトのシリル・デプレを追い上げつつ、最終的にはまさかのペナルティで後退。それでも、クロスカントリーでの走りに大きな進歩を遂げたと考えている。
ラリー開始以来、快調なペースで首位のデプレを追っていたローブだったが、2週目の木曜日となる14日に、その差を9分から2分に縮めたところで、通過必須のウェイポイントを逃しているとの通告を受けた。
ローブは「チェックポイントからは40m以上離れていない」と確信していたが、競技委員会より4時間のペナルティ加算を宣告され、優勝戦線からの脱落を余儀なくされた。
これにより、5回のダカール二輪部門王者であるデプレが、2番手のX-RAIDミニ・オール4レーシングを駆るヤジド・アル-ラジに25分以上のリードを築き、四輪転向後初となるビッグイベントでの勝利を手にすることとなった。
結局、総合7位で2度目のクロスカントリー・ラリー挑戦を終えたローブだったが、このイベントの経験により、クラッシュで終えたデビュー戦ダカールから大幅な進化を遂げたと感じている。
「僕らは冷静さを保ち、ダカール以来多くの仕事をしてきた。だから今、このシルク・ウェイ・ラリーを終えてすごくポジティブな気分だ」
「僕らはマシンの中で多大な時間を費やし、途方もない距離を走破することができた。数々の問題に対処し、ともに働いた。(コドライバーの)ダニエル(・エレナ)とレイドでのコミュニケーションの方法を確立し、プレッシャーに対処し、レースを終えてしまわないようにマシンをケアするため、ペースを改善してきた」
「WRCでは、ダニエルの唯一の仕事はペースノートを読むことだったけれど、こうしたイベントではすべてがふたりの共同作業になる。正しい対処法を見出し、議論し、助け合いながら進むことができた。お互いの話に耳を傾け、信頼を築き上げていけたことは、本当に素晴らしい体験だったよ。砂丘で犯したナビゲーションエラーも、再びそれを起こさないように消化できていると思う」
ローブ、デプレとともに戦ったプジョーのサードドライバー、ステファン・ペテランセルは、イベント開始直後のアクシデントでマシンを破損。修復を経て総合15位で終えた。このダカール優勝経験者も、自身のリザルトに失望しつつ、チームメイトの勝利を祝福した。
「シリルはちょうど2年前にバイク競技を終えて四輪に転向したばかりだが、今回すでに四輪での勝利を手にした。これは信じられないほど素晴らしい仕事だ」と、二輪、四輪ともに6度ダカールを制したペテランセルは手放しで称賛する。
また、新型マシンを投入していたカミオン部門の強豪カマズ・マスター・チームは、エドアルド・ニコラエフのドライブでクラス4位で完走を果たしている。